「あまりみんなが知らなそうなの」というご質問ですが、どれがどうだか分からないので、とりあえず作家が小説を書いて、原稿を編集者に渡すところから、簡単にご説明します。
・渡された原稿は、編集者の手によって印刷所に「入稿」される。
・入稿された原稿は、活字になって本になる体裁(見本みたいな感じ)で出てくる。これを「ゲラ」と呼ぶ。いちばん最初に出てきたゲラであることから通常「初校ゲラ」という。
・出てきた「ゲラ」を、編集者および校閲者が、文字や表記の間違いはないか、内容に問題はないかとチェックをする。これを「赤を入れる」と言い、昔は「朱入れをする」とも言って、赤い色のペンで行ってきた。たとえば文字や表現の重複が会った場合は「トル」と書き込み、また、隙間が空いている部分などには「ツメ」と入れる。「トルツメ」と表現する場合も多い。また、編集・校閲から指摘があったとしても、著者が自分で判断して変更しない場合は「ママ」「イキ」などと赤を入れる。
・「赤が入った」原稿が著者のところに戻ってきて、提示された疑問に答えたり、表現の誤りを訂正したり、また、文字を整えたりする。これも「赤を入れる」と言うが、私の場合は校閲、編集者との区別をつけるために「赤を入れる」と言いながら、青色のペンを使う。これは著者によって様々で、鉛筆で入れる、他の色を使うなど、様々である。
・著者が「赤を入れた」原稿を編集者に戻すと、再度、印刷所で訂正されたゲラとなって出てくる。これを「再校」と言う。
・「再校ゲラ」に関しても、編集者、校閲者の手を経てまたもや著者のところに戻ってきて、さらに細かく内容をチェックし、「赤を入れる」。
・二度目の「赤を入れ」た再校ゲラは、またも印刷され、「三校ゲラ」となる場合もあるが、大抵の場合は、校正は二度までで、三校までとることは、あまり多くない。
・これで良いということになったら「校了」となり、カバーデザインその他を経て、製本に回る。
・出来上がった本の一番後ろのページには、本のタイトル、出版社、出版者、著者、出版年月日などが入るが、そのページを「奥付(おくづけ)」という。
・やれやれ、と喜ぶ。
と、著者が作業する中で使う用語としては、こんな感じが多いです。
出版物そのもの、また編集作業の方まで行くと、著者にも分からない業界用語がもっとたくさんあるんだろうと思います。