数学が苦手だったのに、あきらめないで勉強を続けて問題が解けるようになってきたというのはすばらしいことですね!
問題を解くために複数の段階が必要で、しかもその複数の段階が一本道ではなくいろんな可能性を含んでいる場合に、適切な道筋を見つけるのは確かに難しいと思います。でも、それに対して「このようにアプローチすればいい」という、いわば万能薬はないと思います。
たくさん問題を解けばいいよという人もいるでしょうし、それはある意味では正しいですが、そのときにはよく頭を使う必要がありそうです。具体的にいうと、いろんな問題の模範解答を読むときに「ありがちなステップ」と「スペシャルなステップ」があるので、それを見分けるのです。
ありがちなステップというのは、比較的パターン化されているステップで、「こういうときには等積変形を使えばいいな」や「対角線を書いてみたらどうなるだろう」や「極端な値で試してみようか」や「一般化して考えるまえに特殊な場合で考えよう」といったもののことです。問題の解答を読むときに「このステップ、この一歩、こういう考え方は、別の問題を解くときにも使えそうだな」という意識を持って読みます。
スペシャルなステップというのは、なかなか思いつけないようなステップで、時にはその問題にしか通用しないアイディアやひらめきが必要なもののことです。難問集の中にはそういうステップが必要になるものもあったりします。「こんなの思いつけないよ」といいたくなるものです。もちろん、そのスペシャルなステップについても、深く抽象化して理解することで「なるほど、ここでは対称性に注目しているのかな?」のように考えられるかもしれませんけれど。
解答、特に模範答案のような解答を読むと、表現がかなり削られているため、それに至る思考までは書かれていないことがありますね。自分で考えてみて、謎が解けないとき、思考の流れがわからないときは、そういう疑問を持って先生にあたるのもいいものです。
先生に質問するときには、単に「解答がわかりません」といくのではなく、あなたが考えた道筋を説明して「ここまではこのように進めばいいとわかったのですが、このステップは自分には思いつけそうもありません。ここの背後にはどんな考え方が隠れているんでしょう」のように先生に尋ねるのです。先生はたくさんの問題を見ているはずなので、あなたよりも俯瞰した見方を示してくれるかもしれませんよ。
「どのような思考でアプローチ」という質問にはあまり答えられていませんが、少しでも参考になればうれしいです。ご質問ありがとうございました。
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