ご質問ありがとうございます。「英語史をお茶の間に」をモットーに、英語史の知見、あるいはそれ以前に英語史という分野の存在を広く知ってもらえるように、様々なメディアで情報を発信しています。具体的には、ブログ、ラジオ、YouTube、X(旧ツイッター)、書籍といったメディアにより情報発信しています。

触れていただいた通り、それぞれのメディアに特性の違いがありますし、受信者の層も異なりますので、発信する際に意識していることは多々あります。意識しているからといって試みが奏功しているか否かはわかりませんが、異なる分野の発信者の方々にも、また受信者の方々にも参考になるかもしれませんので、述べられる点について述べたいと思います。

最も早く開始し長く継続しているブログは、もともと大学の授業のための補足ホームページとして始めたものが、徐々に私自身の研究や読書の備忘録ともなり、さらに学生などから寄せられた素朴な疑問に答えるコーナーともなりました。他のメディアでの発信を始めてからは、ブログ記事はそちらへのリンクを提供したり、そこでの議論を補足する役割をも果たすようになってきました。目下、おそらく私の運営するメディアのなかで最も多くの受信者が訪問するのがブログだろうと認識しています。私にとって、ブログは英語史に関するいかなる内容をも広く、狭く、浅く、深く届けられる場です。想定する受信者の層は不特定多数で、内容の水準もきわめて易しいものから、高度に学術的なものまで、私自身が書きたいように書いているというのが実際のところです。

ラジオ (Voicy) については、堅めの語感をもつ「英語史」の名称を避け「英語の語源が身につくラジオ」と銘打っている通り、なるべく柔らかい雰囲気を出したいという思いがあります。リスナー層の大半は30代以上の英語学習者や英語教育関係者と思われます。内容としては、英語の素朴な疑問に回答したり、英語史や英語学の基本事項を導入するようなものが多くなっています。ときに学術的に高度な内容に触れることはあっても、初めて聴くリスナーがいる可能性を常に念頭において話しています。声のメディアは、学びに積極的な方が集まってくる傾向が強く、コメントのやりとりなどを通じて事実上の学習コミュニティができあがってきています。リスナーとの交流が最大の魅力となっていると思います。発信者としては、声のメディアはブログの次に日々の発信が継続しやすく、「英語史をお茶の間に」を実現させやすいメディアだと考えています。

YouTube は、もう一人の英語学研究者(井上逸兵氏)と運営しています。老舗の動画プラットフォームであるだけに、ブログや Voicy とは比べものにならないほどの認知度で、アウトリーチ力はダントツです。YouTube での発信内容は英語史に限らず一般の言語学や英語学の内容も扱っていますし、発信頻度も毎日ではなく週2回であるため、英語史に特化して毎日発信している上記の他メディアとは一概には比べられません。しかし、YouTube ではより広い層に届くように、なるべくウケそうな話題を厳選しているというところはあります。動画プラットフォームのもつアウトリーチ力に期待している、ということです。

X(旧ツイッター)などのSNSでも発信しています。こちらは短文メディアで、かつ拡散力が優れたメディアなので、他メディアでのコンテンツへの紹介、あるいは切れ味の鋭い「一発屋」的な話題を厳選して投稿することが多いです。基本的には、上記の他メディアへの導線となるような利用の仕方をしています。

最も古いメディアである書籍も執筆しています。英語史を体系的に学んでもらおうと思えば、最終的には書籍に行き着かざるを得ません。腰を落ち着けてディシプリンを身につけるには、他のメディアでは力不足だと考えています。上記の様々なメディアを入り口として、最後は書籍に行き着いてもらいたい、という思いがあります。

以上、メディアごとの特性や受信者層を念頭に、発信する内容、水準、文体などをチューニングしていることについて述べました。ただし、メディアは異なれど、おおもととなる発信の動機づけは、冒頭に述べた通り、英語史を広く知ってもらうという一点に尽きます。発信する方にも受信する方にも参考になれば幸いです。

- 「hellog~英語史ブログ」:http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/

- Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」:https://voicy.jp/channel/1950

- YouTube 「井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル」:https://www.youtube.com/channel/UCth3mYbOZ9WsYgPQa0pxhvw

- X(旧ツイッター)アカウント @chariderryu:https://twitter.com/chariderryu

2023/09/16投稿
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