ゾウの鼻は筋肉でできており、永久凍土層に保存されたミイラを例外とすると、確かに化石として残らない部位だよね。だから、もしゾウが絶滅していて化石としてしか手掛かりが残らない場合、正しい復元に苦労するというのはあり得る仮説だよ。実際、ギリシャ神話に登場する単眼の巨人キュクロープス (サイクロプス) の元ネタは、当時のヨーロッパにおいて化石が発見されていたものの、現生種は未知であったゾウの仲間の化石 (恐らくはPalaeoloxodon falconeri) の化石を見て想像したものであるという説がオテニオ・アーベルによって提唱されているよ。

とはいえ、もし現代的な視点で見れば、比較的正確な復元は不可能ではないかもしれないよ。まず、ギリシャ人が1つの眼窩だと勘違いしたものが、実際には巨大な鼻腔であることに気付けると思うよ。仮にゾウが絶滅していても、ゾウに近縁な現生種または絶滅種の頭骨を比較することで、解剖学的手掛かりが得られるからね。そうなると、なぜそこまで巨大な鼻腔が必要になってくるのだろう?という話につながるよね。そして何より、ゾウの歯はどう見ても草食動物のそれである一方で、長い牙が口の周りにあるので、そのままでは食べるのに苦労しそうだ、となるね。ゾウの近縁種はどちらかと言えば地面に生える植物を食べる食性が多い以上、ゾウも足元の草を食べてそうだという推定が立つし、その一方で四肢はどう見ても足元のモノをつかむようにはできてないね。ここまでくると、鼻の長い動物というのを想像するのは、そこまで突拍子のない発想ともいえなくもないと思うのよ。そしてゾウはしばしば水を飲むのにも鼻を使うことから、重い体重を支えるために水を大量消費するだろうことを考えると、ひざをつくよりは長い鼻をホースに使うのが合理的、とも考えられるね。

もちろん、古生物の復元はしばしば変更されるので、ゾウも紆余曲折を経るだろうことは十分想定されるよ。とはいえ、最適解にたどり着くことは不可能ではないかなと私は考えるかな。

8か月

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彩恵りり🧚‍♀️科学ライター✨おしごと募集中さんの過去の回答
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