バイオロギングという手法で海洋生物の生態研究を行っています。ウミガメの背中にビデオカメラを付けてみたところ、海中でプラスチックゴミに遭遇したときの反応が、アカウミガメとアオウミガメで異なることが分かりました。結論から言うと、アオウミガメは餌と間違えてプラスチックゴミを食べてしまうことが多い一方で、アカウミガメはしっかりと見定めてゴミを食べずにやり過ごすという違いがありました。世間には、ウミガメはプラスチックゴミを食べて死んでしまう、だから絶滅危惧種なんだと思っている人が多いのですが、もしそれが本当ならばアオウミガメは減少傾向にあるけど、アカウミガメは大丈夫ということになりそうなものです。しかし、実際には日本近海ではアオウミガメの個体数が増え、アカウミガメは減っています。日本各地の海岸で、死んで漂着するウミガメを解剖して死因を調べる地道な調査がなされています。その結果によると、確かに消化管からはプラスチックゴミの破片は出てくるのですが、それが腸閉塞などを引き起こしたせいで死んだと思われる事例はほとんど無いのです。アオウミガメがプラスチックゴミを誤飲してしまうことはけして良いことではありません。しかし、ウミガメ類を追い詰めている良くないことが他にあるということになります。
ウミガメ関係者たちが皆思っているであろうこと、世間から誤解されていて、訂正したいなあと思っていることでした。
8か月