イナダさん、こんにちは!

汁物を好むとよくおっしゃってますよね。

父がやはり汁物がないと始まらない人で、料理好きでもあったので、親近感が半端ないです。

ところで学生時代から長年の友達がおりまして、私は都内在住、年に数回ほど、地方住みの友達が出張してくる機会などに食事をする仲です。

食の嗜好はそんなに合うわけでもなく、友達のオーソドックスな好みに合わせて、喜びそうな店を私が毎回見つくろうという感じです。

先日ふとした話の流れで、友達が「汁物を飲まない」ということが分かりました。

あまり好きじゃなさそうとは知ってましたが、「味噌汁とか基本いらない。味噌汁があったら具だけ食べて、汁は捨てる」と聞いて驚きました。

なんでも子供の時から、お母さまの減塩方針で一家全員そういう食べ方だったそうです。

ずっと前、友達がうちに遊びに来たときの光景がフラッシュバックしました。

食事を終えて片付けるとき、友達が、野菜スープの具のかけらも残った状態のものをシンクにジャッと流したんです。

外国で手に入れたとっておきの美味しいスープの素で作ったものだったんですけどね。

ええっ?!と思ったけど、見なかったことにして今まで蓋してました。

「汁を飲まないって、出汁とかもわからないってこと?」「薬膳の考え方だとスープが本体なんだけど?」とたたみかけてしまい、「責められてるみたいだからやめて」と言われてその話はそこでやめましたが、正直、自分の中に責めたい気持ちがあるのに気づいてしまいました。

ふだん私は人のことはどうでもいいし、食の好みも千差万別とわかってるので、「そうなんだ〜、いろんな人がいるね」「健康上の理由もあるしね」で流せるはずが、汁を捨てるのは許せん!とふつふつと湧き上がる思いが厳然とありました。

美味しい汁が粗末にされるとこは見たくないので、今後その友達と食事するときは汁物を避けようと心に決めました。

イナダさんのように飲食の仕事をされてて、数多の現場を経験していると、他人の嗜好にいちいちどうこう気を乱されたりしないのかな〜、と想像します。

でもでも、表には出さなくても、それは許しがたい!みたいな個人的な感情があったりはしませんか?

そういう私も、油っこいのが苦手なので、肉の脂身とかカツの衣とか多すぎる生クリームは容赦なく残してて、誰かに許せん!と思われているのかもしれません・・・。

他者を許容するのってむずかしいですね・・・。

今日のお昼は台湾汁麺を食べ、スープはほぼ飲み干してしまいました。

塩分のことを考えると途中でやめたほうがいいかなという意識はあるんですが・・・。

しかし豆乳入りスープだとひときわもったいなくて残せないんですよねぇ。

わかる!わかるぞ! となりました。何しろ質問文がそのまま一編のエッセイです。良いものを読ませていただきました。

おそらくご友人は、質問者さんを信頼して甘えているんだと思います。これは良い意味でです。質問者さんのような気のおけない友人以外との会食でも「汁残し」を徹底しているとはさすがに考えにくいから。

懐石料理でそれをやったら大変なことになりますし、フレンチや中華のコースでスープが出てきたらこれまた大ごとです。

「責められてるみたいだからやめて」というのも、ある意味家族を庇っているようにも思えます。「俺は何言われたっていいけどカーチャンのことは悪く言うな!」的なやつ。それが言えるのもまた友人だからでしょう。

僕が僕から見ておいしくなさそうな食べ方をしている人を目にした時の気持ちは、怒りというよりむしろ、「自分はこういう食べ方をする人間でなくて良かった」という、哀れみや優越感ですかね。それはそれで随分いやらしいですけど、感情が外を向くよりは内を向く方が平和かなとは思います。

それが友人だったら、自分が少なからず正しいと認識している方向への矯正を試みたくなるのは確かです。特にそれが飲食を仕事にしているような相手なら尚更です。しかし、そうでなければ実際は、「そういう好き嫌いもあるのか」もしくは「食に対してそれほど興味が強くないのかな」と思って終わりです。人生の何に重きを置くかまで口出しするわけには行きません。お店の中の人のスタンスとしてはまた少し違ってきますが、それはまた別の話です。

なので質問者さんは、ご友人を甘やかしてあげればそれでいいと思います。ただ機会があれば「まさかとは思うけど、それ人前で常にやってるわけではないよね」というのは確認してあげてもいいような気もします。まさかとは思いますが、一応……

9か月

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