曲がった時空におけるディラック方程式に関するご質問ですね。おっしゃるとおり、通常のディラック方程式は、平坦時空においてミンコフスキー座標系を張った場合での表式となります。ですから平坦時空内にぐにゃぐにゃとした一般座標系を考えた場合には、その方程式の形は保たれません。座標の伸縮とは、コンフォーマル変換などの長さの単位を変える変換かと想像をしますが、その場合でも通常のディラック方程式はご指摘のとおり不変にはなりません。ただ一般座標変換で不変な形にディラック方程式を拡張したい場合には、計量テンソルの導入ではうまくいきません。それはスピノル場の各成分の比も曲がった座標系の影響を受けるためです。座標変換で、スピンが回ってしまう効果が生じてしまうのです。そこでスカラー場における計量テンソルと同じ効果を与えるように、フィールバイン場eとスピン接続量ωという2つの新しい場の量を導入する必要があります。(eとωの具体的定義は、様々な一般相対論の教科書にも出てきます。また曲がった時空の場の理論の教科書にも書かれています。)この2つの量を使って、スピノル場に対する一般座標系での並行移動と共変微分Dを定義することできます。それを用いて共変的なディラック方程式が与えられ、座標の伸縮を考えても、その方程式は不変になります。ご参考になれば幸いです。

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