「勉強の習慣を身につける」のは難しいことですね。いったん習慣になってしまえば苦労なくスッと勉強を始められるのですが、身につくまではとても不自然で、かなり努力しないといけないと感じるからです。特に「やらなければいけない」と思ってしまうと、なおさら取りかかるのがおっくうになるものです。お気持ちはとてもよくわかります。

私は「習慣の力」の大きさを身にしみてわかっており、いままでの人生で体験的に学んだ習慣を身につけるための工夫を二つほどお伝えします。

一つは「すでにある習慣を膨らませる」方法です。勉強に限らず、自分にすでにある習慣があったとします。それはもう苦もなく当たり前のように行っているはずです。それをちょっと延長したり、膨らませたりして、新しい習慣を始めるきっかけにするのです。

たとえば、(簡単な例ですが)歯を磨く習慣があったとして(ありますよね)その磨いている時間に何かの暗記物を行う習慣を混ぜ込んでしまう。そうすると、歯を磨く時間が、暗記物を行う時間に膨らんだことになります。そうやって毎日過ごしていると「毎日暗記物を行う」ということが自分にとって当たり前になります。これが狙い目です。

これは売れない商品をよく売れる商品に抱き合わせで売っちゃう「抱き合わせ商法」と似てますね!

もう一つは「レベルを落としたふりをして自分の無意識を出し抜く」方法です。良い習慣を身につけるとしても、自分の無意識が抵抗します。「サボっちゃえよ」「昨日長い時間やったから、今日はもうやらなくていいよ」「明日二倍の時間やればいいじゃん」……そんな言い訳で習慣を壊そうとしてきます。

そこでレベルを落とします。たとえば何か毎日文章を書く習慣を身につけたいとして、「文章を書く」ことをやろうと思うと大きな抵抗が入りますから「昨日書いたものを読む」ことをやろうと思うのです。書くよりも読む方が楽ですからレベルを落としてますよね。あるいはもっと落として「ノートを開く」ことを目標にするのです。そうすると無意識が抵抗しにくくなります。「文章を書くのじゃなく、読むのでもなく、机に向かってノートを開く」ことを目標にやります。これでサボらせようとする無意識を出し抜いたことになります。もちろんそこで、文章を書いてもいいですが、本当にノートを開くだけで終わってもいいのです。習慣で大事なのは「毎日忘れず継続すること」です。机に向かってノートを開くことを継続していると、やがて「文章を書く」習慣も身につきます。

これは「書こうとせずに読もうとする」というスローガンにできます。

以上、

  • すでにある習慣を膨らませる方法(抱き合わせ商法)

  • レベルを落としたふりをして自分の無意識を出し抜く方法(書こうとせずに読もうとする)

という二つの方法をご紹介しました。

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関連のある読み物をリンクします。

◆勉強の習慣を身につける

https://mm.hyuki.net/n/nd8d0d35b36ed#haTRM

◆習慣を身につけるコツ

https://mm.hyuki.net/n/n398b097cc77f#b5fK4

◆毎日書くのは大切(本を書く心がけ)|結城浩

https://mm.hyuki.net/n/n7742b1ceddab?magazine_key=m715a102cda18

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