まさにちょうどそういう本を読んでいるところでもありますが、ローカルフードと言うなら「餅系食堂」には必ず行ってください。特に餅がメインの食堂というわけではなく、店名に「餅」「食堂」が含まれる、うどんを中心とした麺類と丼物の大衆食堂です。

そういう食堂は丼物も実に驚きに満ちているのですが、他所から来た人には少々レベルが高すぎますので、素直にうどんにしておきましょう。個人的には「きつね(きざみ)」「あんかけ」「肉」が三大メニューです。短い滞在なので、きつねのあんかけである「たぬき」を欲張るのも良いかもしれません。ちなみに僕はこの本『京都食堂探究』(ちくま文庫)を読んでいて、これまで(かまぼこが嫌いという理由で)「しっぽく系」に手を出してこなかったことを悔やんでいます。

そういう食堂の中には、わずかな課金でうどん類を「定食」にもできることがあります。ご飯と小皿のおばんざいがプラスされます。おばんざいは、だし巻き・菜っ葉のたいたん・ひじきのたいたん、みたいな盛り合わせです。つまり最もミニマルな京料理御膳とも言えます。そしてご飯はおばんざいだけで食べるのではなく、うどんもぜひ「おかず枠」として活用してみてください。話せば長くなりますが、実はこれこそが伝統です。大阪うどんより更にあっさりとした京うどんは、いくらなんでも「おかず」にはならなそうですが、ところがどっこい、なぜかきっちりご飯が進みます。これが京都の底力です。また、うどんの上ものをご飯にオンすると、よそ者には(それをメインとするには)レベルの高い、「丼物」も疑似体験できます。

2023/11/29投稿
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