「相手の成功を素直に褒められない」という自分のパターンを認めて「素直に他人の成功を褒めてあげたい」という考えを持つ、というのはものすごく素晴らしいことだと思います。なかなかそんなふうには思えないものですから。と同時に、それは非常に難しいことでもあると思いました。

まず思いつくのは、一気に「褒める」までは行かなくてもいいのでは、ということ。たとえば「自分の負けず嫌いな一言」を押さえるだけでもすごいことだと思いますし、まずはそこを心がけるので十分ではないでしょうかね。余計な一言、捨て台詞的な一言、ちょいとした皮肉やいちゃもんつけ……もしもそういうのを口にしてしまう傾向があるとしたら、それを避けて、ぐっと沈黙できるか。それにトライするのでも大きなことだと思います。

特別なとき(たとえば誰かが何かを成し遂げたとき)だけではなく、ふだんからこまめに「負けず嫌いな一言」を押さえる練習をした方がいいと思います。

それから一つのヒントとしては、「人」に注目するのではなく「成果」に注目するのは悪くないと思います。人に注目すると、どうしても競争意識が先に立ってしまいますが、その人が成し遂げた「成果」の方に注目するのです。ちゃんと「成果」を評価することができるのであれば、素直な気持ちを(負けず嫌いな側面をあまり出さずに)言葉にできるのではないでしょうか。

そして、あなた自身としては「このような状況にあっても、私は客観的に成果を評価できている。こんなことをできるのは私しかいるまい」という認識に立つことで、無意識に動き出そうとする負けず嫌いな側面をなだめやすくなります(とはいうものの、これも度が過ぎるとよろしくありませんが……)。

以下は蛇足です。

長期的な課題としてですけれど、自分の「負けず嫌い」を何に向けるかは注意した方がいいです。「負けず嫌い」を「誰にも何にも自分のプライドを傷つけさせない」みたいに、自分のプライドを守る方向にばかり向けていると、自分の世界をとても狭いものにしてしまうことがありますから。「負けず嫌い」な人は大きな能力を持っているものです。その能力を「誰にも負けないほど、周りの人の良いところを見出す」みたいな方向に使う方がずっと良いと思います……けれど、だいぶ蛇足が長くなってしまったのでこのへんで。

2年2年更新

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結城浩さんの過去の回答
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