こんにちは畑中さん。いつも畑中さんの回答に感銘を受けています。

(あと「うわさの翠くん!!」を当時、雑誌で追っていて大好きでした)

質問があります。作家が面白くないと認識しているネームにokを出す編集さんは、作家にとって所謂「ハズレ」の編集さんですか?

私は漫画家志望の者です。非常に言いにくいのですが、担当さんは私以上に「見えてないんじゃないか」と思う事がよくあります。

まず前提として、私自身が「すごく面白い」と思える様なネームを描けたことがありません。

キャラに深みがないなとか、情報を出す順番が微妙だなとか、感情の流れが早いなとか…何となく面白くない理由はわかっているのですが、どう直したらいいかと言う部分で躓いています。

担当さんにそれを伝えたい上でネームを読んでもらうのですが、担当さんは「そこは直さなくても大丈夫ですよ!」と、なんだか私を励ましてくれる様な感じで気遣って下さいます。(直さなくていい理由はちゃんと伝えて下さいます)

でも正直、担当さんにご指摘して貰った部分だけを修正しても、あまり面白い漫画にはなっていない気がして、実際、デビュー賞まで届いていない状態です。

なので、担当さんがネームを直さなくていいと言って下さる理由は

⑴そもそも、《私が面白くないと感じている理由》の部分が、的外れだったりズレていて担当さんに伝わっていないのか

⑵それとも、担当さん自身があまり作品を見る目がないタイプの方なのか

⑶もしくは、担当さんも私と同じ様に「どう直したらいいか」という部分が分からないので「直さなくていいよ」と伝えているのか

⑷はたまた、私が新人なので気持ちが折れないように気を遣って下さって、あえて指摘しないのか…

とまぁ…こんな感じで頭の中がぐるぐるしている状態です。

一度担当さんに「やっぱりこの部分は直した方がいいんじゃないでしょうか」と提案したのですが、「私の指摘した部分を直せば大丈夫ですよ!」と、また励まされてしまい、担当さんも自身の直しに自信がある感じなので、「どう直したら面白くなるか」という話し合いまで持っていけません。

担当さんは、人見知りの私でも話しやすく気さくな方なので打合せ自体は苦ではないのですが、作品が面白くならない現状を考えると、私にとっては「ハズレ」の編集さんと言う事になるのでしょうか?

そうではなく、コミュニケーションの問題だとしたら、私はどう動けば、作品が面白くなる打合せに持っていけるのでしょうか?

考え過ぎて視野が狭くなっていると感じたので、畑中さんに客観的なアドバイスをいただきたいと思い質問させていただきました。

担当があまり直さない状況とのこと。そして、あなたの漫画は面白くならないと。それは担当のせいですか?というご質問ですが、普通に考えると実力のせいでしょうね。

ただね、豪速球で他人のせいにするヤバめな人間性含め、そのままで良いと思います。

ヤベーヤツだなって自覚はしておいた方があなたも周りも双方生きやすいかと思いますが、でもね、直す必要はない。それはあなたの才能と表裏一体です。

あなたは高みを目指してる。

あなたの中に、ハッキリと到達したいレベルが見えてる。

でもそこに届く技術がまだない。実力がまだ追い付いてない。

思ってる以上に現状差があるんでしょうね。

だから直したくても、具体策を出せない。

最初からそのレベルの作品も描けない。

ここで自分の力不足に嘆いて自分をダメだと思うようなマインドだと、自主没を繰り返し、描くのが止まってしまいます。

でもあなたは幸い担当のせいと思えるタイプなんで、出せる。

良いアイディアが出て来ない理由を担当のせいにして自分は責めない。

自分に攻撃が向かない。

これはね、良いですよ!!

良いと思います、それで!!!!

自覚だけはしておいて欲しいですけど。

編集も人間なんで、ガチめに責められると傷つくんで。

編集側から見える景色を伝えると、新人に最初から売れっ子なみの漫画の出来・面白さを求めてしまうと、潰してしまう時があります。

そもそも実力に差がありすぎて、数年に渡ってOKが出ないなんてことが平気で起こる。

だからOKラインを低くしているだけじゃないですか?

良い意味でも悪い意味でも「投稿者」だと思われてるんだと思います。

投稿者に求めるレベルさえ越えていたらOKで、完璧を目指してあれやこれや直し出して描けなくなるより、一本でも多く描くことこそが大事な時だと思ってる。

ただ、この編集の良かれと思った低いレベルのOKが、作家を壊す時もまたあります。

新人時代に低いレベルでOKと言われつづけることで作家の中に本来あった向上心がしぼみ、そのレベルの自分に満足し、逆に作家としての虚栄心は肥大させ、デビューから数年経ったのに新人並みに下手なまま文句だけは多いベテラン作家となり仕事がなくなってしまう…なんてことも多々あります。

だけどあなたは、自分の現状の漫画にも、担当の低いレベルのOKにもイライラしています!

もっともっと面白い漫画を描きたいと思ってるわけですよね?

向上心に満ち溢れています!!!

これはあなたの持つ最大最高の強みです。

漫画は、上手くなろうと思わないと上手くなれません。

もっともっと!という、その気持ちが作家を育てるんです。

あなたは絶対上手くなります!

凄く面白い作品を描く作家になる!!

そして担当はバンバン描かせてくれる!

最高じゃないですか。

これからもブツブツ担当に文句言いながら、もっと面白くしたいのに!!と七転八倒してください。

今のままで大丈夫です!!!!

1年1年更新

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