まず今は、募集をかけたところでそうそう人は来ません。昔からその兆候はありましたが、今は本当に厳しいです。運良く入ってくれても毎日来てくれるとは限りませんし長く居てくれるとも限りません。なのでそこに頼る前提にしてしまうとかえってオペレーションが崩れます。
飲食店のピークタイムは一瞬です。せいぜい1時間。だからと言ってその時間だけ都合よく入ってもらうのは虫が良すぎます。学生や主婦のアルバイトやダブルワークでも、最低でも3時間。時給を1000円と見積もっても(実際は今そんな安くては誰も来ませんし、実質その額以上のコストがかかりますし、人が変わるたびに採用コストや教育の時間が必要なことを考えると更にがっつり上乗せがあります)、そのコスト増を吸収するのに最低でも1日10000円以上の売り上げ増が必要ですが、人が増えて提供スピードが多少上がったところで、その増分を確保できる店なんてそうそうありません。
最初からアルバイトスタッフありきの規模感で、なおかつ明確に「そこで働くことのメリット」があり、「8人採用して毎日3人ずつシフトイン」みたいな形ならまだこういったリスクを減らせますが、シフトが1人、しかも短時間、というのが最もハイリスクかつローリターンです。
何より「人を使う」ということ自体が、心理的な部分も含めて大きな負担です。夫婦で気楽にやりたいんだ、と言うと聞こえが悪いかもしれませんが、そうでなくなった時の心労は相当なものです。良くも悪くも社会通念の変化により、その心労はますます大きなものになっています。
どう考えても今後、個人店の世界では、ワンオペや夫婦オペの形態は増えていくばかりだと思います。そして待たされることも折り込み済みのそういった趣味性の高い飲食の世界と、チェーン店に象徴される待たせることは絶対に許されない世界は、はっきりと分化していくんだろうなと思います。