いつも貴重な情報をご提供頂き、ありがとうございます。今回は「少子化」についてです。

これまでの昭和の働き方と異なり、今は男女共にキャリアを形成する時代となりました。そこには各個人の自己実現も含まれています。

特に平成生まれの世代にとっては、最初から低成長プラス少子高齢化の環境であり、自然と自らの生き方を優先してしまうのかもしれません。

当方は昭和生まれで、大学卒業後、何とか正社員として働き、家庭を持ち子供もいます。ただ色々な報道から、これもたまたま(ロストジェネレーションの世代故)偶然に巡り会えたものと思っています。

これからの、特に平成生まれの世代には、なんとか少子化を食い止めて欲しい=日本の持続的成長を願っているのですが、果たしてどのようにこの世代は感じているのか。彼ら/彼女たちは、高度経済成長やバブルといった華やかな時代を経験していない世代です。

私は不勉強なゆえ、なかなかこの世代に対して家庭と子供を持つ意義を見出せる有意義な発言が出来ません。

そこで、佐々木さんは少子化についてどのようにお考えでしょうか。本来政治家の皆さんが希望のあるビジョンを提示すべきですが、果たしてそれが現実味のあるものなのか。若い世代にとってはなかなか腑に落ちないのでは、と思っています。

当然ながら簡単に答えが出るテーマでありません。その点も承知の上で、現時点での佐々木さんがお考えの方向性•政策•ご意見等を、お聞かせいただければ大変幸いです。

東京では合計特殊出生率が0.99と1をついに下回り、「衝撃的」と報じられました。2024年の出生数は70万を割り込む公算で、戦後まもなくのベビーブームに生まれた「団塊の世代」が毎年230万人もいたことを思えば、隔世の感があります。いま生まれてくる赤ちゃんは、70代後半になった団塊の世代の1/3以下しかいないのです。

政府は少子化対策を進めていますが、しかしこの対策はどれも「結婚しているが、まだ子どもを産んでない夫婦」「結婚して子どもを産み、2人目3人目を検討している夫婦」に向けてのものです。しかし実際には、子どもを3人以上持つ夫婦の割合は1960年代から変わっていないという統計があり、また東京で6歳未満の子どもを持つ家族の年収の中央値は、2007年に650万円だったのが22年にはなんと946万円。

かつては「貧乏子だくさん」という言葉が示すように子どもは貴重な労働力として扱われました。しかし現代では子どもを育てるための教育費は激しく増大しています。結果として、夫婦ともに高収入なパワーカップルがイコール子育て家庭である、というような状況が都会では起きてきています。

その現状を背景にすると、少子化対策にはパワーカップル支援よりも「貧しくて結婚できない」非正規雇用の若者たちへの支援のほうがずっと重要なはずです。しかしこれは経済成長の問題ともからみあうきわめて大きな話で、少子化対策の枠を超えてしまう部分もあり、政府としてそこまで手を伸ばせないというのが現実なのでしょう。

いっぽうで、工業化・都市化が進めば少子化は必ず進むという「宿命」も指摘されています。実際、かつては日本よりも出生率の高かったヨーロッパも軒並み下がってきています。また東アジアでは日本よりもさらに出生率が低下し、韓国にいたってはなんと0.72というありさま。これは「工業化・都市化などの近代化の速度と、それにともなう社会意識の変化のギャップ」という解説もされています。つまり女性でも普通に働ける社会になっているのに、いまだ結婚には「夫に従う」「家のしきたりに従う」という古い価値観がついて回り、東アジアは近代化が急速に進みすぎたあまりにこの認識のギャップが埋まっていないという指摘です。

今後、アフリカや中東でも工業化が進めば、いずれは世界中が少子化になっていくでしょう。実際、国連では21世紀後半には世界人口がピークアウトすると予測しています。その未来を見据えて、「少子化で人口が減っていく社会でもどのように経済成長を回し、豊かさを維持していくか」というビジョンを考えていくことが大切だと思います。少子化対策はもちろんソフトランディングのためには必要でしょうが、いつまでも人口増加に夢を持っているだけでは、先には進めません。

4か月

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