匿名

この点で興味深いのは、日本人の英会話があまり通じない理由として、発音が下手とか文法が、という以前に基本的に我々は日常習慣的に、あまりwhy-becauseという連鎖で考えないからだ、と主張したのが、先日亡くなった同時通訳者の松本道弘氏です。

彼は『知的対決の論理ー日本人にディベートができるか』に代表される諸著作で、日本人が論理的な決闘術であるディベートが全くできないのは、こうした思考法に慣れていないからだ、と喝破し、その普及に専念されました。

実際英語ではこのwhy-becauseという語法は日常的に使いますが、日本語でしゃべろうとすると微妙に角が立つ面があり、その結果、我々は多くの場合、感情的にならずに論理的にやり取りする訓練が全くできていません。昔イザヤベンダサンという覆面評論家は、それゆえ日本人には論理はなく、条理、つまり、何となくつながる緩い話のつながりしかない、と喝破してました。

ディベートというのはある意味、こうした論法による戦いですが、これを体得すると自然と論理的なwhy-because的やり取りができるようになります。こうした語法を体得すると、テニスやピンポンの様に議論を楽しむことができるようになり、相手の優れた論理に感心するような余裕もできてきます。国会の討論等みても、揚げ足取りしかないのも、こうした訓練がたりないからでしょう。

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