「カレーの定義」
カレーとは、唐辛子を含む2種以上のスパイスと共に加熱調理を施した料理のうち、おおよそ等量の米飯とともに喫食した際、単体で食べるよりおいしくなる食品の総称である。
「唐辛子と共に」は、(少なくともインドにおいて)あらゆるカレーには最低限必ず唐辛子が使われていることからの帰納的定義です。もちろん唐辛子は赤/緑、生/乾燥などを限定しません。
「2種以上」としたのは、唐辛子だけだと世界中から膨大な(カレーとは呼びにくい)料理が集まってしまうからです。ちなみに2種の場合は、ほぼそれは「唐辛子とターメリック」ですが、ターメリックまで必要条件に含めると、ホワイトコルマなどいくつかのインドカレーが脱落してしまいます。
「共に加熱調理」としたのは、例えば「七味唐辛子を振ったモツ煮」など、これまた大量の料理が含まれてしまうからです。
「おおよそ等量」としたのは、この条件が無いと、アチャール類を中心にこれまた膨大な料理が流入するからです。
「米飯」にあえて限定したのは、パン類まで含めると、スパイス入りのチョコ、フルーツ、マーマイトなどのスプレッド類をたっぷりパンに食べて乗せてもそれはカレー、ということになってしまうからです。
そして、チャパティなどのパン類で食べておいしいカレーは、おしなべて米飯でおいしく食べることもそれなりに可能なので、この限定は必要条件として機能します。
「単体で食べるより」は、この条項が無いと、ムリガタニーなどのスープ類がこれまた色々入ってくるからです。
「おいしい」という主観的表現が最後に出てくるのは、そうとしか言いようがないからでもありますが、むしろ、この定義が厳密な(科学的な)定義というよりは、ある種の遊び(ボケ)であることを暗に示唆する意図があります。真面目な人が怒り始めるのを少しでも未然に防ごうとしているのです。
ちなみに過去のあるバージョンでは「おいしくなる」ではなく「食味が向上する」としていました。それだとますます大真面目に取られそうなので、最終的にはヌケ感のあるほどほどのコーデにまとめたのがこの表現です。
以上の条件付けにより、少なくともインドでカレーとされる料理が弾かれないと共に、一般的にカレーとはされない料理を極力排除しようとしたわけです。
そしてここまで綿密にやっても排除できない料理は、もうカレーってことでいいじゃん、ということになり、昔ながらの「麻婆豆腐はカレー」ネタに繋がるところまでがネタです。
なのでここで、「その民族が決してカレーとは呼ばない固有の民族料理までをカレーと呼んで悦に入るカレーマニアとやらの差別的で幼稚なスノビズムは鼻持ちならない」みたいに本気で怒りはじめてはいけないのです。(予防線)
ちなみにこの定義をかつてTwitterに放流した際、
「インドには米だけではなくナンやチャパティで食べるカレーもいくらでもあるのだが、この自称プロの料理人とやらはそんなことも知らなくて大丈夫なのか」
というリアクションがあってさすがに引きました。まあ、必要条件と十分条件の誤読と言えばそれまでで、Twitterあるあるな光景ではありますが、それにしてもウッカリさんが過ぎますね。(予防線)
また、「まあそもそもインドにはカレーなんて料理は無いんだけどね」と、どこかで聞いたような謎知識でマウンティングを取りにくる冷笑系ウッカリさんの降臨も予想されますのでお気をつけください。(予防線)
正しいツッコミ方としては、
「インドの〇〇カレーはこの条件に当てはまらない気がするがどうか」
「これだと麻婆豆腐はともかく〇〇までカレーに入ってしまうが大丈夫なのか」
といったものになります。定義の精度向上に寄与するフィードバックはいつでも大歓迎です。SNSは楽しく使いましょう。