いい質問ですね! ではもっと身近な事例で考えてみましょう。
Aさんは仏教徒です。ところで、お釈迦様が殺生(生き物を殺すこと)を禁じているのは周知の通りです。
Aさんは焼肉が好きで、給料日には奮発してちょっといい焼肉店に行くそうです。
さて、彼は仏教徒でしょうか?
ええ、仏教徒です。ただしブッダが説いたオリジナルの仏教でないのは想像できますね。
さて、質問者さんは「クリスチャン」としか書いていませんが、そのクリスチャンには上記の焼肉を食べる仏教徒と焼肉を食べない仏教徒がいるように、幅があります。
ですので、聖書の記述を無条件に受け入れるクリスチャンはかなり特殊であり、「厳格なクリスチャン」でなくても多くの人はクリスチャンだと思って生活し、周囲もまたその人をクリスチャンと認めるでしょう。
具体的に確認してみますね。
バート・D・アーマンという聖書学者の大学時代の体験などいかがですか。
彼は大学に入った時、宗教学の教授に「聖書には◯◯という矛盾がありますが、一体どうしてですか。神が書いたことなので間違いはないはずなのですが」と、心のそこから神を信じ、問いかけました。
教授は「その箇所を書いた人間が書き間違えたのだろう」と答えました。
バート・D・アーマン『書き換えられた聖書 (ちくま学芸文庫)』 https://amzn.asia/d/4tsI5Cb
以上のお話のように、世界でも屈指の、キリスト教の勢いがあるアメリカ合衆国でさえ、聖書を文字通りに読む人とそうでない人がいます。
若きバートはこの教授の出会いをきっかけに「聖書に書かれたことは本当なのか。
たとえば、それは何回も写される過程で書き損じたものではないか。
また、”本当の所、聖書を書いたのは誰なのか”」を調べる聖書学へ近づいていきました。
そして、聖書学を学んだからといってキリスト教徒を辞める必要はありません。
それゆえ、アメリカ合衆国内でも以下のように聖書へのクリスチャンの立場は分かれます。
1.聖書は神が書いた、あるいは神の霊感を受けてかかれた。そのため、聖書の一切に誤りはない(聖書無謬説)
2.聖書は人間が書いた。そのため、聖書には誤った箇所やのちの時代に加筆、削除された記述が存在する。だから、聖書の記述を信じるか信じないかはよくよく考えなければいけない。
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日本にもたくさんの仏教がありますね。
日蓮の教えなければ日本は滅びると説いた日蓮宗、これも最近はだいぶ丸くなりました。
そして肉食等を解禁した浄土真宗、冒頭の焼肉を食べる仏教徒はこの宗派かもしれません。
それと同じように世界のキリスト教徒にも多くの派閥があり、どの程度神と聖書を信じるかも違います。
質問者さんが想定している最も厳格に神と聖書を信じる派閥は「福音派」が一番それっぽいですかね。
下記記事でもアメリカ合衆国に多いとされていますが、それでも20-25%だそうです。
https://japanknowledge.com/contents/nipponica/sample_koumoku.html?entryid=2827
以上のように聖書に批判的であってもクリスチャンを名乗れます。
クリスチャン同士が現代でどのように問題を議論しているかについては、以下の本がわかりやすいでしょう。
『キリスト教は同性愛を受け入れられるか』