「やる気がでない勉強をやらなければいけない場合」というのはしばしばありますよね。最近は少なくなりましたが、もう少し若いときには私もよくありました。「やる気が出る」というのとはちょっと違いますけれど、私なりの方法をご紹介します。

それは一言でいえば「勉強そのものをがんばる」ではなく「勉強のやり方の工夫をがんばる」というものです。私はそれを「メタな方向に思考をシフトする」と表現することもあります。

わかりにくいと思うので具体的に説明します。たとえば自分としては興味が持てない本だけれど、勉強のためにある期間中に読まなければいけない本があるとします。そのときに「この本は読まなければならない本だからやる気を出そう」と思っても、なかなかそうは思えません。興味が持てない本に興味を持つふりをするわけにはいかないからです。

そのときには「この本を期間内で読み終えるにはどう工夫すればいいか」という問いを立てて、それに答えようとします。たとえば予定表を作って、日付と予定ページ数を書き込み、それをプリントアウトして壁に貼ります。

あるいはまた、自分が習慣にしていること(たとえばひげを剃るとか、おやつを3時に食べるとか)に関係させてそのタイミングで、その興味が持てない本を開くことにします。つまりこれは習慣と抱き合わせることで毎日読むための工夫ですね。

また、自分一人だとどうしても怠けたり、サボったりしますので、他の人を巻き込む工夫を行うことがあります。同じ本を読む仲間を作って、毎日「今日はここまで読んだ」みたいに連絡を取り合うということです。一緒に読まなくても単に親しい友人相手に「毎日進捗メールを送るから」と約束するのもいい方法です。友人の手前サボることが難しくなるからです。

以上の話はすべて、自分のモチベーションを上げるとか、やらなければならない勉強に対するやる気をアップさせるとか、そういう話ではないことに注目してください。自分の気持ちを直接どうこうするのではなく、やり方の工夫の方に意識を向けるのです。勉強そのもののやる気がたとえ出なくても「よし、今日はうまく取りかかれたな」みたいになってくると、結果的に目的の勉強に掛ける時間も多くなってくると思いますよ。

がんばってください!

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なお、以下にはその他の「学ぶときの心がけ」を読み物形式でいろいろ書いていますので、もしよろしければごらんください。

◆学ぶときの心がけ|結城浩

https://mm.hyuki.net/m/m4e998a7b06c9

1年

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