宇宙誕生直後の状況を調べるのは極めて難しい問題で、現在でも議論が続いているよ。よって、今ここで書く説明は、その後の研究で変わる可能性があるよ。

今身近に存在する物質は原子でできていて、原子は基本要素まで分解すればクォークと電子の集まりだよ。よって原子やクォークの誕生について語るには、宇宙の環境がこれらの粒子を物理的に取り扱える状況になるのを待たないといけないよ。そのような状態になったのは、4つの基本相互作用が全て分離した「電弱時代」の終わりごろからと考えられていて、恐らく宇宙誕生から1兆分の1秒後、宇宙の温度が1000兆℃より涼しくなった段階でクォークが誕生しうる環境になったと言われているよ。この時代を「クォーク時代」と呼ぶよ。

クォークがどのように誕生したのかと言えば、真空から反クォークとのペアで対生成したと考えられているよ。もちろん、そのまま放置するとクォークと反クォークは対消滅するために、大部分は現れてはすぐに消えるね。ただし、何らかの理由でクォークの方が反クォークよりわずかに多く生成され (およそ10億個に1個程度の割合!) 、結果的に原子などの元になったと考えられているよ。この非対称性の理由は現在でもよくわかっておらず、宇宙最大の謎の1つとなっているよ。

さて、クォークは誕生したものの、このころの宇宙の温度は高すぎるために、クォークは自由に動き回っていたと考えられていて、原子はおろか、原子核を構成する陽子や中性子といったハドロンは存在しなかったと見られているよ。ハドロンが形成されるのは、宇宙の温度が100億℃まで下がって、クォークの自由な動きが妨げられるようになった、宇宙誕生から100万分の1秒後の時代であると考えられているよ。クォーク時代の次に来る時代は「ハドロン時代」と呼ぶよ。

ただし、まだ原子は存在しないよ。まず、宇宙誕生から1秒後、宇宙の温度が10億℃まで下がる「レプトン時代」になって電子と陽電子のペアが対生成され、宇宙誕生から10秒後に大部分が対消滅する時代が先に来るよ。クォークと同じく、電子も何らかの理由で陽電子より多く生成されたため、レプトン時代の終わりには電子が大量に残されたよ。それでも大部分は対消滅して光子を生成したため、宇宙が光子に満たされた「光子時代」が始まるよ。そして宇宙誕生から3分後になると、陽子や中性子を分離するほど宇宙の温度が高くないために、お互いに核融合反応をするようになり、水素とヘリウム、少量のリチウムとベリリウム、痕跡量程度のホウ素原子核が合成されるようになるよ。しかし未だに宇宙の温度は高く、原子核と電子が安定して結合するのを妨げるよ。この状況が終わるのは宇宙誕生から37万年後、宇宙の温度が3000℃程度まで下がった時だよ。この時代は、最初に原子が誕生した時代であり、電子と原子核が安定して結合するようになった時代だよ。こうなると、光子は電子や原子核に衝突しなくなり、まっすぐ進むようになるよ。これが宇宙最初の光として観測される「宇宙µ波背景放射」であり、光で観測可能な宇宙となったことから「宇宙の晴れ上がり」とも表現されるよ。

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彩恵りり🧚‍♀️科学ライター✨おしごと募集中さんの過去の回答
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