積惟美:Y Combinatorが投資して成功した企業(Airbnb, Dropbox, Stripeなど)は錚々たる顔ぶれで、このVCが優秀であることは間違いないにも関わらず、ご質問にあるようなプロダクトに投資しているところを見ると「なんで?」ってなりますよね。興味深い問いだと思います。 これにはいくつかの理由があり、VCの投資戦略には特有の特徴があります。 1. ハイリスク・ハイリターンとポートフォリオ戦略: VCは一般に、非常に高いリスクを伴う初期段階の企業に投資します。これらの企業の多くは失敗に終わりますが、成功した場合のリターンは極めて高いです。VCは多数の企業に少額ずつ投資し、その中のごく一部が大きく成功することで、全体としての利益を確保しようとします。 2. イノベーションと破壊的技術への賭け: VCは、従来の市場を変革する可能性を持つ革新的なアイデアや破壊的技術に出資することが多いです。これらの投資は不確実性が高く、初期段階では当たるビジネスなのかそうでないのかわかりません。例えば、2020年の段階で現在これほどChatGPTをはじめとした生成AIが話題になるということを予想できていた人は本当に一握りだと思います。また、一見して「これは成功する!」とわかるビジネスはすでに他のVCも目をつけているので、そうした企業に投資してもVCとして期待するほどのリターンは得られません。 3. 長期的視点: VCは短期間での利益追求よりも、長期的な視点で投資を行います。多くのスタートアップは、設立から数年間は利益を生み出さないことが普通であり、VCはこの長期間の成長過程をサポートします。VCは将来の市場動向や技術トレンドを予測し、それに基づいて投資先を選定します。時には一般的な見方とは異なる独自の判断を下すこともあります。 結論として、VCは「ダメで元々」というよりは、計算されたリスクを取り、大きなリターンを目指して投資を行っています。多くの投資が失敗に終わることを承知の上で、一部の大成功を目指しているのです。また、一見して「このビジネスは絶対に投資回収できる」とわかるビジネスに投資するのはVCとしてそれほど旨味がないということも疑問を感じた要因かもしれません。 VCをはじめとしたベンチャー投資(界隈)は日本において非常に課題ある分野だと思います。ぜひ、いろいろ調べてみてください。(阅读更多)