山中 大学 (Manabu D. Yamanaka):●フーコーの振り子: 1851年にフランスのフーコーがパリで公開実験を行なって,振り子の振動面(ガリレイの短時間の実験では不動)が回転することから地球自転を実証するとともにその周期が緯度のsinに反比例することを示し,その後1年程度の間に低緯度(現スリランカのコロンボ)を含め多数の地点で次々と追試された有名なもので,実験の内容はググって頂けば多数でてきます.大学学部の時に友人と自主的に行なおうとしたのですが,完全に失敗でした.思いが交錯して具体的には書きませんが,その後の観測・実験研究者としての私に無数の教訓を与えました. ●教育実習: 実験ではありませんが,大学学部在学中に附属中・高で普通の教育実習生よりかなり長期で行った教育実習は,その後(結局小中高の教壇に立ったことは一度もなかったにも拘わらず)多くの影響を大学教員としての私に与えたように思います.(阅读更多)
藤岡 宏之:私が最も印象に残っているのは、大学3年の物理実験で行った、宇宙線として地表に降り注ぐμ粒子の寿命測定です。 プラスチックシンチレータを複数枚重ねて、そのうち1枚にμ粒子を静止させます。μ粒子は電荷を持っているため、プラスチックシンチレータ内でエネルギーを落とす際にシンチレーション光が出ます。μ粒子が崩壊して生じる荷電粒子によって再度シンチレーション光が出ます。その2回のシンチレーション光の時間差を測定すると、exp(-t/τ) に比例する時間分布が得られ、μ粒子の寿命τが求まるという寸法です。 μ粒子の寿命は2.2マイクロ秒なのですが、学生実験の範囲でもなかなか精度良く求められることに感動しました。また検出器を複数組み合わせて回路を組んだり、時間差分布を対数グラフを書くと、きれいに直線に分布し、すなわち指数関数的なふるまいをすることなどが実感でき、とても教育的な実験だったと思います。 その後、μ粒子の起源は、大気上空で宇宙線と窒素などの原子核との反応によって生じたπ中間子が崩壊して生じたということや、μ粒子の寿命に光速をかけてもわずか660mにしかならないが、特殊相対論の効果で、光速に近い速度で運動するμ粒子が地表にふりそそぐことができることなど、新しい知識を学んだときにその学生実験のことをよく思い出します。 今はΛ粒子という、もっと寿命が短い (約100億分の2.6秒) 粒子を研究対象にしていますが、ミクロの世界、極めて短い時間スケールに興味を持った原点は、μ粒子の寿命測定だったかもと改めて思いました。(阅读更多)