菊澤研宗:質問、ありがとうごうざいます。いま興味をもっている独実の経営哲学をもつ経営者は、一般的なのですが、やはり松下幸之助と稲盛和夫ですね。ただし、一般的な見方とは違った意味で、関心を持っている可能性があります。 両者とも、究極的に人間の限界・不完全性を意識して経営を展開している点が興味深い点です。 例えば、稲盛和夫は、一方で従業員に徹底的に優れた製品を製造するように要求します。指が切れほど薄くて鋭い紙を製造するといったような仕事を求めています。また、アメーバ経営を通して、徹底したコスト・ベネフィット管理を展開しようとします。 しかし、彼は人間は不完全であることを十分知っているので、このような高い要求をすると、必ず不正を行う人間が出現する可能性があるのです。そこで、不正を行わないように、他方で倫理を強く求めるのです。ここに、稲盛経営哲学が神髄があるように思います。 科学と哲学、一見、矛盾するように見えるのですが、調和しているのです。素晴らしいです。 同様に、松下幸之助ですが、彼は自分の人生を振り返って、自分の成功と関係していることとして2つの点を強調しています。いずれも人間の不完全性の認識に関係しています。 (1)自分は学歴が低かったこと。このことから、素直に、他人の意見、専門家の意見を聞くことができた。この点が良かったというのです。これは、素晴らしいです。高学歴だと、素直に他人を意見を聞かない可能性があるという危険性があり、ときには傲慢に神のようなスタンするに立ってしまう。これが失敗に導くことになるのです。 (2)自分は体が弱かったこと。このことから、すべてを自分でやろうという気持ちはなかったというのです。このようなことから、分権制である事業部制をいち早く採用したのだと思います。 両者の経営哲学に共通しているのは、人間の不完全性を十分に認識しており、そのことを起点として思想が展開されている点です。私は、この点に両者の哲学の魅力を感じます。(阅读更多)