ネル:有利になる変更だからだと思います。 NTT法の廃止は、NTTに有利な変更です。NTTは、25兆円にも上る通信設備を国から承継しています。100億円や200億円の話ではなく、NTTの時価総額の2倍に匹敵する金額です。このような巨額の資産を承継したからには、「国民生活に不可欠な電話の役務をあまねく日本全国に安定的な供給を確保する責務」を全うしなさいというのが、NTT法のもともとの趣旨だと思います。 この義務を果たそうとすると、不採算事業(≒ド田舎でのサービス提供など)も継続しなければならず、NTTグループの利益に対してはマイナス影響が生じます。NTTがNTT法を廃止したがっているのは、不採算事業を停止したいからではないかと懸念されています。競争上不当に有利になるだけでなく、電話サービスの一部が停止されるリスクがあると考えられるため、通信事業者をはじめとした有識者が、NTT法の廃止に反対しています。 放送法の廃止は、NHKに不利な変更です。現在のNHKは、多額の受信料を強制的に徴収することで、安定した収益を上げています。もし、放送法が廃止されて完全民営化された場合、NHKは自ら広告主を探さないといけなくなります。 フジテレビのメディア収入が4,000億円程度なのに対して、NHKの受信料収入は7,000億円近い水準です。常識的な範囲で推測すると、完全民営化した場合、NHKの収入は半減未満になるでしょう。したがって、NHKは完全民営化を望まないと思います。 以上のように、数字の規模感が重要です。 NHKの場合、民間の2倍程度の受信料収入を得ているから、広く批判されているのだと思います。もし、受信料が月額100円程度であり、受信料収入が500億円程度しかなかったら、NHKは今ほど批判されていなかったでしょう。また、その場合は、NHK自身が民営化を望んだはずです。そのほうが有利になるからです。 NTTも同様で、承継した設備が1,000億円程度だったら問題になっていなかったでしょうし、NTTも素直に返還・分社化などに応じたはずです。それが出来ないほど巨額な設備を承継したにもかかわらず、安易に義務を撤廃しようとしているから、現在議論になっているのだと思います。(阅读更多)