大谷栄治:アイスランドは,プレートテクトニクスで重要な海洋底が生み出される場所である中央海嶺が陸上にでているものです.ここでは海洋プレートが作られ,海洋底が拡大している場ですので,通常,海洋底でしか見られないマグマの湧き出し口が地表で観察される重要な場所です.したがって,このアイスランドの活動的な場の構造は,大西洋中央海嶺とほぼ同様です.そのために,ここは火山活動も地表で最も活動的な場の一つとなっています. アイスランドは,北米プレートとユーラシアプレートの二つのプレートの境界にあり,プレートに引っ張られる張力がはたらき,新たな陸地(海底)が生まれる場所になっています. アイスランドに見られるこのような地球の裂け目は,ギャオ(ギャウ)とよばれています.この割れ目は,地下から高温のマントル物質が上昇して海洋底の岩石を作る場になり,プレートが東西に引っ張られる場になっています.ここは引っ張り場にありますので,大西洋中央海嶺のように,裂け目ともに,引っ張り応力によってできる正断層が多く見られます.ここのように引っ張りの応力場でできたギャオには,地下から熱い物質が流入し,地殻の浅い部分で溶けて溶岩が発生し蓄積され,古い溶岩は水平に押しやられます.この地域は,火山活動も常に活発で,割れ目噴火帯になっています.このようなわけで,このギャオは,高温物質の流入の場なので,それほど地下深くまでは延びていません.文献によれば,平均的には大まかには約30メートル程度といわれていますが,中にはさらに深く,数百メートルにも及ぶ場所もあり,地質条件や地形によって場所ごとに異なっています.このようにアイスランドは,東西に向けて成長しています.成長の速度は,プレートの移動速度と同じで,東西それぞれに1~1.5センチメートル/年,東西を合わせて2~3センチメートル/年程度と言われています.(阅读更多)