彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:この質問に答えるには、まず「ビッグバンが正確には何を指しているのか」を検討しないといけないよ。完全に額面的に考えれば、元々Big Bangという用語は、宇宙は高温高密度状態から始まったという宇宙論に関連して考え出されたものなので、つまり「新たにビッグバンが起きる可能性」について答えようとすると、それは宇宙に誕生時に匹敵するほどの高温高密度状態が生じるかという質問とほぼ同義になってくるよ。 これについては、可能性はゼロとは言えないけど限りなく低いと言えるよ。これほどの高温高密度状態になるルートは2つあり、1つは宇宙が潰れた後の反転、もう1つは量子力学的な効果によるものだよ。 前者の、宇宙が1点に潰れてしまう現象を「ビッグクランチ」と呼び、その後に再び膨張に転ずるという宇宙論を「サイクリック宇宙論」と呼ぶんだよね。しかし現状の観測状況では、今の宇宙ではビッグクランチが起こるどころか、むしろ加速膨張が進行していて、一向に潰れる気配はないんだよね。また、潰れた後に反転するかどうかもよくわかっておらず、サイクリック宇宙論についても、単純なバージョンは熱力学に反していて成り立たないことが分かっているから、この辺が正しいかは分からないよ。 後者の量子力学的な効果というのはもっと単純で、真空の揺らぎで宇宙誕生時と同じ高温高密度状態が偶然に生じる可能性だよ。量子力学的に言えば、例え物質もエネルギーもない真空であっても、完全にゼロである状態が永久に固定されることはなくて、常に非ゼロな値が生じて揺らいでいることになるよ。そしてもっと高温高密度な状態が生じる確率は、ゼロに近いけど全くのゼロじゃないので、いつかはそのような状況が生じる可能性はあるよ。ただしそれが生じる時間はとんでもない長さで、平均して以下の時間で発生すると考えられているよ。 1010105610^{10^{10^{56}}}10101056 このどちらも、観測するというのは事実上不可能だよ。前者はビッグバンによって宇宙と共に素粒子ですらなくなってしまうので、観測可能な知性がいるかどうかはもはや哲学の世界になってくるよ。後者は余りにも時間が長すぎて、陽子はおろかブラックホールすら当の昔に消え去ってしまうほど長いので、やはり観測可能な知性がいるかどうかを現状の科学のレベルで語るのは不可能だよ。 さて、さっき額面的に考えればとか言ったよね?もう1つの可能性として考えれば、ビッグバンは宇宙誕生 "直後" に発生した高温高密度状態に対する語だとも考えられるんだよね。特にこの定義において重要なのは、宇宙誕生後の数分で起こった「ビッグバン元素合成」だよ。この時代はいくつかの陽子が中性子に変換されたり、それらが合体してヘリウムができたりなど、宇宙で基本的な物質が生じた時期なんだよね。で、それの原動力の元をただせば、真空の性質が変化したことによって発生した熱だ、と言い換えることができるんだよね。この「真空の相転移」という現象が起きて、その時点で物質が生じたのがビッグバンだと考えると、実は私たちの宇宙は既に2回ビッグバンを経験した可能性がある、というのが最近の論文で述べられているんだよね。この理論の場合、1回目のビッグバンは今までの理論で述べられている普通の物質を生み出した「熱いビッグバン」であり、一方でその後に起きた2回目のビッグバンは暗黒物質を生み出した「暗黒ビッグバン」が提唱されているんだよね。もし暗黒ビッグバンが発生していたとすると、それは宇宙誕生から1ヶ月後であると考えられているよ。また、現状の技術では不可能だけど、もしかするとパルサーの信号を慎重に分析すれば、重力波で暗黒ビッグバンを観測可能かもしれないよ!この辺の詳しい解説は、私が寄稿記事で詳しく解説しているから、ぜひ読んでね! そうなってくると、今度は未来のいつかの時点でビッグバンが更に起こるかどうかだよね?そのような「真空の崩壊」と呼ばれる現象は予測こそできるけど、起きるかどうかは全く分からないよ。真空が別の真空へと相転移するかどうかは分かっていない部分が多すぎるし、そもそも今の真空よりエネルギー的に低い真空が無ければこの考えは全く成立しないんだよね。そして真空の崩壊が起きた時に観測できるものがあるかと言えば、難しいと思うよ。暗黒ビッグバンのように、暗黒物質以外に物理定数の変更が生じないなら、ものすごいエネルギーの変化として観測可能かもしれないけど、通常の物質にも影響する可能性は全然あるからね。(阅读更多)
Hayato Shimabukuro(島袋隼士):結論から言うと、ビッグバンが起きる可能性はあります。ただし、あくまで可能性の一つに過ぎません。 そもそも、ビッグバンとは何か?というところから話を始めましょう。アインシュタインが一般相対性理論を完成させたことにより、我々の宇宙に対する考え方は劇的に進歩しました。宇宙そのものを物理学の対象として考えることができるようになったのです。一般相対性理論を宇宙に適用すると、宇宙が膨張しているという解を得ることができます(宇宙が静止している、あるいは宇宙が収縮しているという解も同様に得られる)。 これを観測的に示したのがハッブルです。ハッブルは銀河の位置と後退速度には比例関係があるというハッブル・ルメートルの法則を発見し、これは宇宙膨張により起きていると考えることでうまく説明ができました。 そして、宇宙が膨張しているということは、現在よりも過去の宇宙のほうが小さかったことを意味します。したがって、宇宙の時間を逆戻しすると宇宙はとても小さく高温・高温密度な状態だったと考えられます。これをビッグバンといい、ガモフらによってビッグバン時の宇宙での元素合成が議論されました。 すなわち、ビッグバンとは高温・高密度な宇宙の状態を指すわけです。そのため、現在の宇宙が収縮を始めて、どんどん小さくなれば再びビッグバンを起こす可能性はあります。そして、この様な出来事をビッグクランチといいます。 では、現在の宇宙の観測からビッグクランチは起こりそうなのでしょうか?現在の宇宙は、超新星の観測や宇宙マイクロ波背景放射による観測で、加速膨張している事が分かっています。つまり、宇宙は小さくなるどころか、加速膨張してどんどん大きくなっています。したがって、現在の宇宙の状態が続くとビッグクランチが起こる可能性はほとんどないでしょう。もちろん、この先、宇宙が収縮に転じる可能性はありますが。 それよりも、加速膨張がこの先も続くと、宇宙の加速膨張によって銀河も星もバラバラになり、原子や素粒子も引き裂かれ、時空全体が引き裂かれるビッグリップ、あるいは、宇宙に存在する星が燃え尽きて、冷たく真っ暗な宇宙が最後には残るビッグフリーズになると考えられます。 もちろんこれらは、いくつかある宇宙の終焉シナリオに過ぎず、実際の宇宙がどうなるかは何百億年後に生きる人々(存在するのか??)にしか分からないでしょう。(阅读更多)