田口善弘@中央大学:SFチックなことを言えば当然、変容するでしょうね。近い将来、情報の入出力は脳波や視神経を介したデバイスレスなものになっていくことが予想されますし、そうなると「自分の思考」と「外部情報」の境界もあいまいになるでしょうし、「人間の意識はどこからどこまでを意味するのか?」ということさえ問題になるかもしれません。脳に直接情報が入力できるなら「記憶」と「外部情報」の区別はあいまいになりますし、「10年前の自分の体験の記憶」より「脳に入力された偽の疑似体験の記憶」の方が鮮明なものになるでしょうから「自分の人生記憶」みたいなものも価値が薄れるかもしれません。 朝起きたら好きな人生の記憶をインストールして「若いころ成功を収めて引退した有名人」としてソファに座ってゆっくり一日をすごす、なんてことも夢じゃないかもしれません。そもそも、人間の意識ってあいまいなものですね。受動意識仮説によれば意識は脳が便宜上作り出した幻だという説があります。脳の内外があいまいになるくらい情報デバイスが発展したら脳は意識を不要な仮説と考えて意識を捨て去るかもしれません。 結局のところ、意識、というのは脳というハードウェアの機能に過ぎないので、外部情報を入出力できる高度な機能が次々とプラグインされていったら脳のハードウェアの機能自体変化して我々が意識と呼んでいる機能は無くなってしまうかもしれません。 大切なことは「意識」というのはあくまで脳の機能に過ぎないのであり、独立して実在するものではないということです。そういう意味ではあなたの質問は「ワードの機能って新しいプラグイン入れたら変わりますか?」という質問と同じです。プラグイン入れたら変わりますか?ってそれは変わりますよね。そういう時代が来たら「意識が変わるのが嫌だから情報機器につながりたくない」と思う人も当然、出てくるでしょうし、そういう人は「スマホが使えない高齢者」みたいな扱いになるんでしょうね。(Read more)