横田有為:半導体工場は多くの複雑な工程(設計・ウエハ製造・ウエハ処理・パッケージング・検査等)から成り立っています。その中には、ロボットやAIの活用によって人の手を介さず自動化が進んでいる工程も多くありますが、単純化できず人の手が必要な工程もまだまだ存在します。さらに、半導体産業の発展は急激に進んでいるため、その発展に合わせた製造工程の改良が日々求められており、それには高度な知識を有する技術者が重要な役割を果たしています。
機械化によって自動化が可能となった工程においても、使用している機械の設定やメンテナンスは人が対応することになります。当然、機械の設定やメンテナンスを行うためには、その機械に対する理解だけではなく、その半導体製造工程に対する知識が必要になります。
その点で、現在言われている半導体産業における人手不足は、機械や半導体に関する高度な知識を有する人手が不足していると言えます。最近、台湾の巨大半導体メーカーであるTSMCが熊本に半導体製造工場を建設しているニュースが多く流れていますが、その流れの中で熊本大学は先端科学研究部附属半導体研究教育センターを新たに設置し、実践的な高度技術者を輩出するべく、半導体カリキュラムを実施し始めています。
半導体分野以外でも言えることですが、単純作業の自動化が進んだ先では、高度な知識や技術を有する人材の需要がより重要度を増すことになると思われます。