伊藤隆太:ご質問を頂き、誠にありがとうございます。広島大学人間社会科学研究科の伊藤隆太です。政治学・国際関係論を研究しています。1人の政治家による暴走を防ぐために、あらゆる国でどのような工夫が成されているのか、という問いは政治学的に非常に重要ですね。実際、現在、ロシアでも中国でも指導者は全体主義的な統治手法により、指導者の任期上限は実質的に形骸化しています。したがって、自由民主主義国ではこのような問題が生じないように、権力分立や法による支配の徹底がなされています。これらを集約したとき、西欧政治思想が出した一つの答えは共和主義です。共和主義は、もともと「共和政(republic)」という政体を支える思想として生まれたものです。端的にいえば、共和政とは君主政(国王が政治を運営する体制)ではない体制を指します。君主ではなく国民が権力を持ち、自分たちで政治を運営するが故に、公民的道徳や自己統治といった思想が必要になるわけです。また何かご質問があれば、お気軽に賜れれば有難く存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。