小林朋道 公立鳥取環境大学 教授 動物行動学 進化心理学:次のような問題への対処のほうが、心臓などへの負担の問題より生存・繁殖にとって重要だったからだと思われます(私の仮説です)。
コウモリを手に取ってしっかり見られたことがおありかどうかわからないのですが、肩の筋肉が発達していて盛り上がっています。それもそのはずで、鳥よりもはるかに巧みな飛翔能力ができるのは、指骨の間に形成されている膜を、空気圧に抗して細部にわたって自由自在に動かすことができるからで、それを可能にしている要因の一つが肩の発達した筋肉なのです。ただし、そのたに大きな問題も抱え込むことになりました。それは体重の増加です。持続した飛翔のためには体重は軽ければ軽いほどよいのですが、発達して盛り上がった筋肉は体重を増加させることになります。それへの対策として、コウモリたちは、下半身をできるだけ軽く、細くしたのです。そしてその結果何が起こるかと言うと、脚がキャシャになり脚に付く筋肉も少なくなってしまったため、頭を上にして直立することができなくなったわけです。ではどうするか。・・・頭を下にしてぶら下がればよい。そういうことだと思われます。