むらやん:40年来の教授のファンです。特に10代はこの方の創る音楽は元より一挙手一投足に憧れていました。
音楽家になりたいと強く思うキッカケがこの方でしたので、思いつくままに書かせていただきます。
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坂本さんはクラシック音楽の理論に精通しながらジャズ、ロック、ブラックミュージック、民族音楽などあらゆる音楽に造詣が深いのはファンにとって周知のことだと思います。
「電子音楽」というのは元々、戦後にカールハインツ・シュトックハウゼンやピエール・アンリらが始めた現代音楽の一部でした。実験的な要素が強く、大衆向けとは言えない音楽だったのです。
その電子音楽とポピュラーミュージックの橋渡しとなったのがYMO。海外ではクラフトワークやウェンディ・カルロスなど「シンセサイザーを取り入れた音楽家」は居ましたし、日本でも冨田勲氏の存在は大きいのですが、YMOの活躍はそれよりも更に一般大衆に電子音楽やシンセサイザーが浸透する要因となりました。
そして、このグループのキーボーディストである坂本さんは、当時の10代のピアノ・音楽好き少年少女の心を鷲掴みにしました。自分も含め、現在の(ある年代の)音楽家の大半は大なり小なり彼の音楽の洗礼を受けているのではないでしょうか。
また、私のような「クラシック音楽に無縁だった」人間がクラシック音楽に興味を持つキッカケとなったのも彼です。
そして坂本さんは、音楽だけに留まることなくあらゆる文化を会得し多方面で活動していた方でした。
ダンス、インスタレーション、哲学、文学、ビデオアート・・・こういうのを見ながら、一ファンである自分も今まで知らなかった世界に触れ、好きなものの幅を拡げることができたのです。
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まとめると、「心身ともにタフであり、亡くなるまで自分自身と音楽と真摯に向き合っていた方なので、その存在自体からとてつもなくパワーをもらっていた」というところです。
もはやこういう音楽家って今後現れないのでは?と思えてなりません。