大谷栄治:気体と液体の区別がつかない状態は,高温高圧の条件で存在します.これを超臨界状態あるいは超臨界流体と言います.気体と液体の区別がつかなくなる温度・圧力を臨界点といいます.これはすべての物質に存在します.良く知られているのは,水の例です.水に溶けない様々な物質が,超臨界状態では水に溶け込むために,様々な工業的な用途があります.例えば,ペットボトルのPETなどを分解するなど廃棄物の処理や洗浄,機能性材料の合成に応用されています.他方,様々な物質を溶け込ませるという性質は,デメリットにもなっています.地熱発電の際に,高温の蒸気でタービンを回し発電しますが,地下の超臨界水中にはシリカなど様々な物質が溶け込み,それが利用する圧力条件で析出して配管をつまらせる(シリカスケール)など,これを改善することが大変重要な課題になっています.