鵜山太智:橋本先生が仰るように為す術もないと思います。ただでさえ地震や台風など、地球の自然現象ですら人類はろくに太刀打ちできないのに、宇宙規模になったらもうどうしようもないですね。というわけで答えは僕も変わらないのですが、補足的にガンマ線バーストについて説明しておきます。
まずガンマ線(γ線)というのは非常にエネルギーの強い光(電磁波)です。放射性物質由来というところはα線、β線と同じなのですが、これらは電荷を持った物質な一方でガンマ線だけが電磁波です。またX線と似たような性質を持っていますが、発生機構が異なっています。X線のような非常に強いエネルギーなので、当然生物が浴びると被爆します。
さて宇宙空間の話に移りますが、星や銀河だけでなく星雲やダストなど、様々な天体が光(電磁波)を発しています。よく聞く可視光や赤外線(ちなみに人間も熱を発しているので赤外線を出しています)だけでなく、非常にエネルギーの高いX線や紫外線を出す天体も数多くあります。この中でも特に強烈なエネルギーが確認されたのがガンマ線バーストと呼ばれる現象で、宇宙で最強クラスのエネルギーが数秒から数分単位で一気に放出されます。太陽とは桁違いです。超新星やブラックホールに関連していると考えられていますが、どのような機構でこのような強いエネルギーが生じているのかはまだはっきりしていません。天文学における現在最もホットな分野の一つ、マルチメッセンジャー天文学において大きな研究対象になっています。
現在までに報告されているガンマ線バーストは全て天の川銀河の外で発生したもので非常に遠く、かつ指向性が強いものと考えられていて、直近に限っては実際に地球上の生命に大きな影響を与えるものではありませんでした(大昔の大量絶滅の原因となった可能性はあり得るかもしれませんが)。しかしもしこれが銀河系内で起きてしまって、運悪く地球に向いてしまうと、、考えたくはありませんね。とはいえ確率は非常に低いものなので、何十億年、何百億年という年月を重ねたら地球に運悪く届いてしまう可能性も高くなりますが、近い将来に起きたら本当に運が悪かったと思うしかありません。