浅野 晃:すでにいくつか回答が出ていますが,私は自分が担当している「統計学」の講義の最初に,こんなふうに説明しています。 == 最近話題の「機械学習」も,統計学の一種です。ただし,人間ではなくコンピュータのための統計学です。 伝統的な統計学は「データから情報を『人間が理解できる形で』導き出す」ものですが,機械学習は「コンピュータが利用できる形」でしか導き出しません。囲碁や将棋で,コンピュータはいちばん強い人間よりも強くなっていますが,コンピュータは「なぜその手を指したのか」を人間にわかる形では教えてくれません。 私の「統計学」のクラスでは,データを人が理解するための「伝統的な統計学」を説明します。 == よく「工学と理学の違いは,工学は『どうやって動かすか』を考える,理学は『なぜ動くか』を考える」といわれます。機械学習は「なぜできるのかはわからなくてもいいから,将棋に勝ったり,外国語を翻訳したり,絵を生成したり,ができればいい」という「工学」の立場で,統計学は「データから得られる情報がどうやってできているのか,どういうモデルが立てられるのかが知りたい」という「理学」の立場,ということができるかもしれません。(Read more)