白石直人:傘の目的は「雨天時に濡れずに移動する」ですが、それを満たす道具はすでに実現しています。それは「車」という発明品です。車を用いれば、豪雨の中でも全く濡れずに移動できます。あるいは電車なども同様の位置づけが出来るでしょう。 騙された気分がするかもしれませんが、目的を満たす画期的な発展は、往々にして既存のものの延長ではなく、全く別の視点から問いそのものを解消してしまうものです。傘がスーパー傘になるのではなく、車として「濡れずに移動する」という問題を解決してしまうのはこの例です。実際、車社会の地域では、ほとんどすべての移動は雨から守られており、雨に当たりうるのは目的地の駐車場から建物の間だけ、ということも少なくありません。 車で移動するほどの距離ではないけれども、どうしても濡れたくない人が文句を言うかもしれません。では、傘とレインコートと長靴で防備して外出してください。多分ほとんど濡れずに済むと思います。その原始的な道具で既に目的が完璧に達成されているのですから、これ以上に特別な発展は起きないわけです。(Read more)