杉本憲彦:回答のご依頼ありがとうございます。仮想的な状況を想定する思考実験は、今の状態を理解するためにも大切なことです。 少し考えてみましたが、月がなくなることで、地球の水がなくなる状況は、私には想像できませんでした。潮の満ち引きは月の引力で起きているので、それがなくなるのは確実です。 また、月はいつも同じ面を地球に向けていますが、これは同期回転と呼ばれる現象で、月の自転と公転の周期が同じになるように、地球の引力によるブレーキがかかったためです。同様に、地球も月の引力によって、長い年月をかけて少しずつですが、自転の周期が遅くなっています。このため、もし月がなくなると、このブレーキがなくなり、自転が速くなるでしょう。地球の自転が速くなると、偏西風なども高速になり、強風が吹き荒れることになりますが、水がなくなることは想定できません。 可能性として考えられるのは、月がなくなることで、地球の自転が不安定になり、太陽に向かって真横に倒れる(自転軸が90度になる)場合です。昼と夜がずっと継続することになり、半球が灼熱、半球が極寒になります。昼側の水は蒸発して、夜側の水は氷ることになりますが、大気の大循環は温度差をならすように働き、それでも水が失われることにはならないと思いました。(Read more)