ごま:東プレREALFORCEを初めてつかったときは、なんて打ちやすいキーボードなんだと思ったのですが、さらにコンパクトさを求めてHHKBに手を出したら、その快適さから抜けられなくなりました。とにかく打ちやすく、スコスコスコ…と流れるように文字を打つことができます。コードを書くにも文章を書くにも、タイピングのストレスがほとんどありません。まあちょっと軽すぎるきらいもあり、考えごとをしながらキーに手を置いていると、いつのまにか文字を打ち続けてしまった、みたいなところもありますが、まあそれくらい軽くて柔らかくて、打ちざわりみたいなものが抜群です。他にも名キーボードとされるものはあって（両手分離して使えるやつとか）追求もできたのですが、これ以上は沼らずでいいかなと思っています。

Yoshi Yamaguchi:いくつかの要件を挙げていらっしゃいますが、私のオススメは特に「疲れない」という観点からのものです。そのおすすめは左右分離型のキーボードです。基本的に人間の骨格の作りからすると、現在主流の一体型のキーボードは巻き肩や猫背の原因になり、長期的に見ると良いものではありません。ノートパソコンを使っている場合には、キーボードの上に両手を置いた状態から、手をノートパソコンの左右に置いた状態に姿勢を変えてみると、明らかに胸郭が広がるのがわかると思います。 したがって、キースイッチの押し心地単体で言えば、東プレ製のキースイッチを搭載したREALFORCEやHHKBなどは素晴らしいと言えますが、個人的には上記の理由からおすすめはしていません。 エルゴノミクスキーボードと呼ばれるもので有名なものにはマイクロソフト社製のものがありますが、こちらも確かに少し左右の手が広がり余裕があるものの、より左右の手幅を自由に取れるもののほうがおすすめできます。もう少し広がりがあり、かつ親指を有効に使えるという点でおすすめできるのがKinesis Advantage 2です。これは独特のお椀型の形状をしたキー配置により、より楽に打鍵できるようになっています。しかしながら、これも一体型のため、もう少し広がりがほしいところです。現在、この後継であるKinesis Advantage 360という機種が出ており、現時点で量産品としてのおすすめはこちらになります。 あるいは量産品として入手しやすいものということであれば、Mistel社製造のBARPCCOシリーズもよいと思います。このキーボードは通常の一体型キーボードを真ん中で分割しただけなので、移行もしやすいのが利点です。ほかにもZSAが販売しているMoonlanderとErgoDox EZがあります。こちらはCherry MX互換のキースイッチを使用しているメカニカルキーボードで、スイッチが交換可能になっているので、打鍵感が気に入らなければ国内の専門店からスイッチを購入して交換が可能です。[1][2] これまで紹介してきたキーボードは量産型で、TKLもしくは65%と呼ばれるサイズなのですが、左右分離型のままでよりコンパクトなキーボードが欲しい、という場合には、キットを使ってキーボードを自分で組み立てるという方法もあります。 国内最大手のキーボード専門店である遊舎工房では有志の方々が設計されたキーボードの組み立てキットが販売されています。電子工作をしたことがある方なら非常に簡単に組み立てられると思いますし、その経験が無い方でも、組み立てガイドを見ながらはんだ付けを行えば1日で作れると思います。40％と呼ばれるサイズのキーボードは、非常にコンパクトでホームポジションからの指の移動も少なく、慣れると高速にタイピングが可能です。私も40％キーボードを愛用しており、おすすめです。また、キーボードのファームウェアはオープンソースになっていて、かなり自由なカスタマイズが可能なため、特定の用途で自分専用の動作をさせることも可能になります。（macOSでのKarabiner-Elementsを使うようなキーの組み合わせなどを、キーボードを接続するだけで実現可能です。） 自分に合う、良いキーボードが見つかることを願っております。