田口善弘@中央大学:詳しくは
フェルミの天才性ついて
を読んでもらうとして一番本質的だったのはこの原稿に述べられている「概算の才能」だと思います。理論というと精緻な方程式を思い浮かべる人が多いのですが、フェルミ推定の名にものこっているように彼は概算が得意でした。往々にして高度な数学的な理解を要求される理論物理学研究ですが、概算ならば高度な数学はいりませんし、計算したことをすぐ実験で確認できますし、逆に実験事実を簡単に理論で説明できます。
対して同時代(と言っても20歳は年上)の(もっと有名な)アインシュタインの一般相対性理論は、よく知られているように日食の時に太陽のそばを通過してくる星の光を観測しなくては実験的な検証はできませんでした。これでは仮にアインシュタインが自分の理論の実験的な検証をしたいと思ってもそうそう簡単にはできなかったはずです。
フェルミが実験と理論の両方で力を発揮できたのはこの「概算の才能」によるものが大きかったのではないでしょうか?