高橋賢:一般的には,農地が細分化されたことによって,農業経営が小規模化し,農村からの人口流出や人手不足からくる耕作放棄地の増加などを招いていると言われています。土地の所有者が多数いるため,大規模な社会インフラを整備しようとしても用地買収などが困難になる場合もあります。これらは地方の衰退の一端を担っているかもしれません。小規模化し,土地の所有者が増加したため,大型機械による耕作の稼働率も低い状況で,法人化による大規模営農ができないという事態になっています。
私は以前六次産業化の研究をやっていましたが,六次産業化の障壁になるのが,この農地が小規模で細分化され所有者が多数いるという点でした。法人化して農地を集約してある程度の規模にし,機械化を進めて効率性を高めることが,六次産業化の一つのポイントになるのですが,ある県でインタビューしたところ,やはりそのような集約は難しいとのことでした。その意味では,農地改革が現代の地方再生の取組の障壁となっているといえるのかもしれません。