法律用語として「酌量減軽」という場合は、法律上の減軽事由(心神耗弱や中止未遂のような法律で規定されている減軽事由)以外の刑の減軽事由をいいます。ただ、一般に「情状酌量」という場合は、量刑時に被告人にとって有利な事情を斟酌することを指し、それはほとんど全ての事件において行われています(およそ被告人に有利な事情が存在しない事件は稀です)。

量刑を決める場合、まずは結果の重大性と、行為の危険性・悪質性に着目します。次いで、犯行に至る経緯にも着目します(ご指摘の同情を誘う事情が存在する殺人のケースもこれに該当します)。それは、行為を選択した意思決定のプロセスにどの程度の非難が妥当するか(責任の重さ、大きさ)に関わるからです。動機に同情の余地が認められる場合は、非難可能性がさほど大きくないとして、刑を軽くする方向に作用し、殺人であっても実刑ではなく執行猶予が付されることがあります(育児や介護疲れの事案等)。その意味で、仮にそれを「あわれむ」という言葉で表現するのであれば、その主体は裁判所ではなく社会全体や社会通念になろうかと思います。

その他、一般情状として、性格、反省の有無・程度、更生に対する意欲・環境等も考慮されます。日本の刑事手続は、他国と比較した場合、法定刑の幅が広い分、事案に応じた量刑が行われ、情状酌量の介在する余地も大きいのではないかと思います。

2 years ago

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