小川仁志:昔話は教訓に満ちています。ただ、各々の物語からどんな教訓を得るかは、読み手に委ねられているように思います。まさにそれは、昔話を哲学することで見えてくるのではないでしょうか。私も以前、『むかしむかしあるところに、哲学者がやってきた。』という本を書いたことがあります。昔話を題材に哲学する本です。そこでも浦島太郎や桃太郎を独自解釈しています。どちらの方が宇宙飛行士にふさわしいかは、ご指摘の通り解釈によると思います。それだけで適性の有無は測れないと思いますが、思考力や性格を見極める一つの判断材料にはなるでしょう。私ならこう解釈します。浦島太郎を選んだ人は好奇心の強い人、桃太郎を選んだ人は目的意識の強い人。どちらも宇宙飛行士に必要な素質だと思います。強いていうなら、宇宙は一人で開拓するものではありません。チームワークが求められます。その意味では、桃太郎の方がふさわしいように思います。でも、研究者として参画するなら浦島太郎タイプの方がいいかもしれません。いずれにしても、未知の世界に臆することなく飛び込んでいけるパイオニアスピリットが求められるのはいうまでもありません。あと、愛と勇気と友情も必要です。あ、これはアンパンマンですね……。