杉本憲彦:光は電場と磁場の相互作用で伝わる電磁波です。波を伝える媒体を必要としないので、真空中でも伝播することができます。昔はエーテルという媒体が存在すると考えられていて、それを発見しようとする試みから光速度不変の性質が明らかになりました。これがアインシュタインの特殊、一般相対性理論の原点となっています。
音は媒質を必要とします。大気中では気体の分子、水中では液体の分子、地中では固体、固体中では原子の結合が媒質になります。真空では伝える媒質がないので伝播できません。大気中では、気体分子が多い(高圧)ほど、気温が高い(分子が活発な)ほど音速は速くなります。水中では気体よりも密度が高いため、音速は速くなります。また、固体内では原子が結合していて密なため、音速はさらに速くなります。
光は逆に物質があると伝播の障害になるため、真空中が最も速くなります。大気中から水中に入るとさらに遅くなり、この伝播速度の違いにより、屈折が起こります。