大谷栄治:大学院時代や就職してすぐには,野外での地質調査をやることがありました.そのときには,自然の景色をみても,そこの露頭の岩石名が気になる,石像をみても像でなく石材が気になる.デパートの壁の石材をつくる鉱物名が気になってしょうがないということが良くありました.つまり自然の美をそのまま美しいと感じず,そこの地質や岩石をすぐに評価したり,成因を考えたりしてしまって困りました.これは,職業病だと強く思いました.最近は,室内実験やデスクワークがほとんどで,野外にゆくことが少なくなりましので,その職業病は回復しつつありまして,自然をありのままに美しいと感じられるようになりました.