「読点の打ち方と読みやすさ、読みにくさ」についてのご質問ですね。これは普段から私もよく考えている話題になります。
読点の打ち方に限りませんが、書いているときの感覚と読んでいるときの感覚はずいぶん違います。そもそも書く速度よりは読む速度の方が圧倒的に速いので、違いが出るのは当然です。ですから、「書いているときは〜だけど、読んでみたら〜だった」という現象はしょっちゅう起きます。それを改善するためには読み返すことが必須になりますね。それが推敲や校正という作業になります。
私は文章を書くときに読点を多く打つ方ですが、それは読者の読むスピードやリズムをある程度コントロールしたいからです。コントロールというと大げさですが、読点までをいったん一区切りと認識してもらうために読点を打ちます。その意味では、あなたが冒頭に書いておられる「話すときに一息入れるくらいのタイミング」に近いかもしれませんね。書くときに読点を多く打ちますが、読み返して読点を減らしたり、読点の場所を変えたりすることは頻繁にあります。それは先ほども書いた「書いているときの感覚と読んでいるときの感覚の違い」があるからでしょう。
文章を読むときに、心の中で音読するかどうかは人によって違うと思います(私も専門家ではないのであくまで想像です)。そういえば、速読をするときには心での音読を避けることでスピードアップするらしいですよ。しかしながら、音読するかどうかとは別に、読点が持つ視覚的要素(文字間が空くこと)によって意味のまとまりを認識しやすくなるでしょうから、どこに読点があるかは重要だと思います。
読点の位置や個数が不適切だと文章は読みにくくなるものですが、それにも増して読みやすさに効いてくるのは「語順」だと思います。思い付くまま書いた文章を完成としてしまうと、多くの場合は読みにくいものになります。いきなり読みやすい語順で書くことはなかなかできないからです。読みやすい文章にするためには、やはりここでも読み返す作業が必要になります。読み返して、読みやすいように語順を入れ換えるのです。
読点や語順の他に「漢字」と「ひらがな」の使い分けもありますね。これもまた視覚的要素で読みやすさが変わる例だと思います。これについては以下の文章に詳しく書きました。
◆漢字とひらがなを使い分ける(文章を書く心がけ)|結城浩