ご質問ありがとうございます。この辺りはネット中に間違った解説が多くあるので、混乱しやすい点です。二重スリットの干渉縞は、情報取得が原因で干渉性が失われるというより、スリットの経路上に何か粒子と相互作用をしてしまうモノを置いておくことが原因です。そして多くある設定では、その「モノ」を測定機にして、粒子がその測定機に触ったら光るとか音が出るとかさせるわけです。この場合は粒子がどちらかの経路を通ったという情報を外の観測者は得ることができ、かつ干渉縞も消えるため、ご質問にあるような「情報取得が原因」という誤解がうまれるのです。しかし現実には経路の情報を観測者に教える測定機でなくても、干渉縞は消えるのです。各スリットの裏に粒子と相互作用できる物体を置いておけば、その粒子の経路とその物体は量子もつれ状態になります。そして実験ではこの物体を無視して、粒子が辿り着くスクリーン上の点だけを観測しますので、その粒子の量子状態はその物体の自由度を無視した縮約状態の密度行列で記述されます。その結果として干渉縞の強さを与えるその密度行列の非対角化成分が零に近づいて、干渉縞が弱くなるか消滅をします。その物体は測定機でなくても良いので、情報取得が干渉縞の消滅の原因ではありません。情報取得で起きることは、その観測者にとっての粒子の「波動関数(量子状態)の収縮」です。多数の可能性の中からただ1つの事象が測定結果として現れるのが、その収縮です。もしスリットの裏に置いた物体が意識を持った人間の観測者ならば、その観測者にとっては粒子の波動関数は収縮をし、スクリーン上の干渉縞ももちろん消えますが、観測者でもなく、また測定機でもない、普通の物体と相互作用させるだけで干渉縞は消えます。ご参考になれば幸いです。

6mo6moUpdate

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