山下澄人:たぶんまだ若い方だと思うのでそのつもりで反応します。五十とか六十ぐらいまではそのまま我慢するつもりでいるといいと思います。手首の傷はないけどわたしは「自分が気持ち悪い」とかいう人はたくさんいる。仕組みがそうさせているのでその人の問題じゃないのに思い悩む人はたくさんいる。いい加減気がつけよと思うが仕組みは精巧にできているので仕方がないかとも思う。でもご安心。五十とか六十とかになればそんなことはどうでもよくなる。もっとあちこち具合は悪くなるし、痛くなるし、気にしなきゃいけないことが山ほど出て来て、自分が気持ち悪いこととかの優先順位は驚くほど下がる。何を見ても人間の華は「若い時」とされていて、それか少し逆手をとって「今からこれから」とかいって若づくりをさせようとするか。あれらはどちらにせよ「金使え」なのでそうとわかればしらけて飽きる。どの時も死ぬまでどの瞬間も全部だから、比べたりしても仕方がないけど人間も五十年六十年も生きれば、肉の知恵はやはりすごくて、木でいえばまだ若い大したことのない木ですが、つらくはなるが楽になる。そうした知恵が肉に付く。あなたがもし五十か六十なのなら知らない。死ぬまでやってろというしかない。