鵜山太智:現在地球から一番離れている人工物であるボイジャー1号が120 au (1
au=地球と太陽の距離)に到達するまで約40年かかかっています。このペースが続くとして1光年まで到達するのですら2万年以上かかります。ちなみに太陽系に最も近い星(αケンタウリ星)は4.3光年離れています。
基本的に、探査機は加速を得るため惑星の重力を利用したスイングバイを考えられているのですが、それだけだとお隣の星にいくだけでも相当に厳しいですね。やはり太陽系外の情報は電磁波(光)や重力波など、自然に地球にやってくるシグナルを捉える方が現在の技術では格段に現実的です。
とはいえそれで諦めてしまっては進歩はありません。まだアイデア段階ですが、Breakthrough
Starshotというレーザーを利用した推進力で光速の20%まで加速し、αケンタウリまで20年で到達させようという議論が数年前にありました。しかし、この議論も見積もりだけで、現実的に実証可能な技術はまだありません。この手法を現実化させるのが良いのか、他の手法を開発した方が良いのか、そもそも探査機を加速させる事が一番成功する道なのか。。も分からないというのが現状だと思います。こういった答えの見えないところを、本当に基本的なところから一歩一歩しらみつぶしみたいに研究・議論していくことで、将来的な革新的技術に至る可能性が芽生えてきます。