蒔田純:確かに、一票の格差があり、地方が、実際の人口に比べて「選出できる国会議員の数」という点で都市部よりも相対的に有利な条件にあるため、普通に考えれば、地方向けの政策が多く実行され、結果として地方が発展する、という帰結になります。しかし、実際にそうなっていないのは、実行される政策が地方の発展に資するものとなっていないからに他ならないと思います。
これまで地方選出の政治家は、地方が発展することとは、すなわち「都市部へのアクセスが向上すること」「都市部と同じものがあること」であると考えてきたのではないでしょうか。この考え方に基づいて、新幹線・道路の敷設やハコモノの建設等が進められてきたのだと思います。しかしその結果、地方が発展したのかと言えば、現状は周知の通りです。都市部への人口流出が加速し、独自性のない画一的な街並みが広がり、自治体の借金だけが膨らみました。
地方の発展は、いかにその地域独自の魅力を発見し、それを産業の軌道に乗せる形で人とカネの呼び込みにつなげられるか、にかかっています。これは一票の価値や国会議員の数に関わりなく、アイデア次第で為し得ることであると思います。