大人相手であれば許容できる言葉遣いでも、子供相手には許容できない言葉遣いというものがあると思います。しかし、何を根拠に許容できると判断すればよいか分かりません。

例えば演劇(実写[テレビ]映画やアニメーション、ラジオなどの音声作品を含む)や文学作品(ノンフィクション小説や漫画や絵本を含む)におけるセリフは、作品内や作中人物間では許容できても実社会では許容できないものが多く、大人向け/大衆向け作品における卑語や俗語や卑猥な隠喩だったり、子供向けとされる作品でも非標準的な話し方(いわゆる「乱暴な口調」のような役割語)が多く登場します。

卑語の類を積極的に教えるべきではないということは比較的理解できるのですが、役割語を使うべきではないという点に関してはあまり肯定できません。何故なら役割語の中には方言やその変形が少なからず含まれているように思われるからです。

私自身はほとんど方言の知識がなく、俗に標準語と言われているものにしか馴染みがないため、生きた話者でない余所者が当地の言葉遣いについて擁護にせよ非難にせよとやかく言うべきでないというならそうするしかないのですが、しかし例えば「相模弁や江戸弁は乱暴な言葉だから使わない方が良い」と言われると当事者でないにせよ反感を抱いてしまいます。

標準的でない言葉は無礼であり、方言は標準的でなく、ゆえに方言を使うことは無礼である、という論理は単純明快ですが、切り落としてしまう部分が多いように思います。その一方で、子供が社会の表舞台に出て困ることがないように先ずは規範的な言葉遣いを覚えるよう促したい、という(やや利己的に思える)気持ちも理解できます。

個人的には、そこにある言葉はそれがどんな意味であれ使えるうちに使ったほうが良い(そのためにフィクションというサンドボックスがある)と思うのですが、これもあまり倫理的でないと理解しています。

長くなりましたが、方言や卑語や俗語は、何時・誰に対して使うことが許容され、あるいは許容されないのでしょうか。また、それは何故ですか?

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