小川仁志:料理に喩えるなら、基本的に私は本は材料だと思っています。この場合の料理はもちろん哲学することです。その結果、本で読んだ内容をもとに人前で話したり、原稿に記事を書いたりします。哲学に限らず、何かについて思考する際には、素材が必要です。その際、素材をフルに活用するためには、線を引いたり、書き込んだりする必要があります。したがって、可能な限り本は買うようにしています。でも、希少本や古い本は手に入れるのが難しいことがあります。そういうものについては図書館で借ります。その場合も、情報としてずっと手元に置いておきたいことが多いので、必要な部分のコピーを取っておきます。ちなみに、いずれも電子書籍や電子媒体ではなく、紙の本や紙のコピーを優先します。例えば電子書籍でも今は十分書き込みができますが、私にとっては本の個性が重要なのです。本は人と同じで、一度読むとその人=本と対話したような感じになります。それが記憶を引き出すきっかけにもなっているからです。文字通り、本は友達です。