生物発光科学者(近江谷):まずは光の色と波長のざっとした関係ですが、400-430 nm(ナノメータ)くらいが紫色、430-450 nmくらいが藍色、青色で450-480
nm、青緑色で480-510 nm、緑色で510-540 nm、黄色で540-570 nm、橙色で570-600
nm、赤色で600-650nm、そして、真紅、近赤外光となります。さて、発光生物の光の色は生息環境に対応するとも考えられております。例えば海の生物は、生息海域の光の透過に影響され、緑色から青色へと低波長の光を発します。これは、多くの場合、発光することで身を隠すためであり、青色で発光することで、生息環境の光の色に一致します。一方、陸生のホタルなどは光を交信の道具としますので、目立つ発光色の黄色が中心となります。ただし、黄色の発光生物の視覚は黄色に対して高感度になります。必ずしも、全ての発光色を説明するためにはもう少し説明が必要ですが、そこは割愛させていただきます。
さて、質問ですが、私の研究対象のウミホタルは460nmの青色ですが、最近、特定したゴカイは440nmで藍色で、おそらく、調べられた中で最も低波長の発光生物です。これ以下のものは見つかっていません。また、長波長のものでは、ブラジルに生息する鉄道虫の頭が630nmの赤色の光を発します。ただし、厳密に言うと発光生物の発光スペクトルはLEDのように狭い波長の光ではなく、色々な光の波長を含んだ幅広いものです。よって、ゴカイの藍色の中には紫色の光も部分的には含まれています。よって、全ての光の色を発しているが正解でしょう。