月夜野:海外では血液型が偏っている地域が多いので血液型占いは成立しないからだと思います。
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例えば白人はB型の人が人口の数%しかいないそうです。
当然AB型もその程度です。
AとOが人口の9割を占めるという事はAとOは人口の4割前後という事です。
オーストラリアの先住民はAとOだけでBもABも存在しません。
南米の先住民に至ってはヨーロッパ人が侵略してくるまでOだけでした。
B型はアジア人が二十数%とのことです。
(中込弥男『ヒトの遺伝』より)
なので日本人は血液型の比率がA:O:B:ABが4:3:2:1とある程度均等に分かれています。
白人やオーストラリアの先住民は血液型で性格が決まるなら性格は2種類だけと言う事になります。
南米の先住民にいたって1つです。
そんなことはありえないですよね。
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ちなみに論文はありましたが1つは「留学生と日本人大学生との科学リテラシーの比較 :
宏観異常現象と超常現象、血液型占いに関する意識調査より」とオカルト扱いで、これによると一般的に考えられているほど信じている人は多くないそうです。
もう1つは「スポーツパフォーマンスと血液型:武道系種目からの考察」で、これによると武道をやっている人の血液型分布はA:O:B:ABが4:3:2:1と日本人の割合と一致しているそうです。
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日本でなぜ流行ったのかの論文は見付からなかったのでここからは私が昔アメリカのドラマを見た時に思い付いた仮説です。
アメリカには「A型人間」という言葉があります。
アメリカ人の医師が提唱したものですが、これは性格の分類であって血液型のことではありません。
「攻撃的(Aggressive)」「活動的(Active)」など頭文字がAの単語が付く行動が多い人をA型人間と言い、これに当てはまる性格の人ならOやB、ABでも「A型人間」です。
この他にB型人間、C型人間というのもあります。
ABO式の血液型にC型はありませんよね。
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おそらくですが、アメリカに行った人がアメリカ人が誰かのことを「あいつはA型人間だ」と言ったのを聞いて、A型人間と言われた人の血液型が偶然A型だったか、血液型は知らなかったもののA型という言葉を聞いて血液型のことだと勘違いしたのではないでしょうか。
医学的なことに詳しくなければA型人間の定義までは知らずに血液型のことだと思っても不思議はありません。
言葉自体は一般人が日常会話で使っていますが、定義が載っているのは医学書ではないかと思います。
知らない言葉を聞いたときに定義を調べる人は少ないですし、まして英語で書かれた医学書を見て確認したりはしないでしょう。
血液型占いが流行りだした頃はネットはまだなかったので何かを調べたいと思ったら本を読むしかなかったので尚更です。
そして医師が言っているのなら医学的、科学的根拠があると思い込んで日本に持ち込んだのが広まったのではないかと思います。